春だ!Tシャツを!さあ!
3月24日まで、この記事を最新にしておきます。
ブルドッキングヘッドロック10周年記念Tシャツ特設ページが、特設されました。
Tシャツも力作なら、ページ自体も力作。Tシャツをクリックどうぞ。それぞれのコメントを読めば、あなたもブルTマスターだ!
さらに、クリック後、Tシャツの写真にカーソルをあわせると、背面デザインが、パと、パ、て感じで出てきます。まれに、背面デザインが出てこない不具合が生じる可能性があります。その際はお手数ですが、一度特設ページを閉じ、再度特設ページをご覧ください。お手数ですがごめんなさい、複雑ななにかが、たまにこんがらがるみたいなんです。でも、楽しいですよ。
ぜひご覧ください!
2010年03月24日 23:59 | コメント (4) | トラックバック (0)
黄金風景
こうもたくさん読んでいると、短編も短編、うんと短いのに出くわすだけで、太宰さんナイス。と思う。
短編です。
昔、太宰さんがいじめていた女中が、大人になり、夫づてに太宰さんに会いたいと言ってくる。しかし、今の自分のダメさ加減を思うと、会えたもんじゃないと思い、太宰さんはとっとと逃げ出してしまう。ところが、太宰さんがこっそり海辺で見かけたその女中さんは、夫と娘に向かって、太宰さんのことを一つも悪く言わないどころか、誇らしげに讃えてみせるのだった。
太宰さん、完敗。果ては、興奮して男泣き。なんともはや、ダメな御人である。
2010年03月19日 23:50 | コメント (1) | トラックバック (0)
姥捨
水上温泉にて、最初の妻(実際には内縁の妻か)、小山初代さんと服毒心中をしようとした時のことが、描かれている。
「道化の華」、「狂言の神」、に続いて、三度目の自殺モノだ。自殺モノってジャンルもどうかと思うが。
初代さんをモデルにしているのだろう、かず枝の、鈍感を装っているのか、はたまた太宰さんが隣にいた女性をそうとらえたのか、今から死ぬようには見えない、なんとも明るい振る舞いが印象的だ。そして、実際に服毒し、しかし失敗して生き返り、生きてはいるものの気を失ったままのかず枝が、無意識のまま、「胸が、いたいよう!」と叫び上げる、その無防備な姿にこそ真実があるように思われ、悲しい。
帰京後、二人は別れる。なんともやりきれない話だが、夫は小説に狂い、妻は不貞を働いた。なかなかどうして、どうにもなりそうもない二人ではないか。
森の中、気を失い、泥まみれで喚き散らす死に損ないの女を見て、男は別れを決意する。その際の、決意の言葉もまた印象的だ。
“ 単純になろう。男らしさ、というこの言葉の単純さを笑うまい。人間は、素朴に生きるより、他に、生き方がないものだ。”
アンタが言うか。という向きもあろうが、そうですな、とも思うのである。男がこういう考えの元になにかを言うと、女の人は別の単純さでもってブーブー言う。
いろいろ言葉を費やして、自分に言い訳したり言い聞かせたりしているところは、男ならではの女々しさだ。その辺は、太宰さん、健在だ。
2010年03月19日 23:23 | コメント (1) | トラックバック (0)
燈籠
新潮文庫版「新樹の言葉」を読み終え、次は新潮文庫版「きりぎりす」。
「燈籠」もまた、女性が主人公の物語。
” 女々しくてシリーズ ” を立ち上げた私が、女性描写が得意な作家さんとされている太宰さんをモチーフに選んだのも、なにかの縁なのかもしれない。と、偉そうなことを書いてみる。
冒頭の、 “ 言えば言うほど、人は私を信じて呉れません。” は、またもや太宰さん自身の心情を表現しているようだ。
薬物中毒、幾度も繰り返す自殺、誰かれかまわず金を求める日々、欲しがるあまり常識を逸脱してしまった芥川賞事件、精神病院への入院、太宰さんに起きてしまった様々な出来事が、世間の太宰さんへの眼差しを、変えがたいものへと凍らせてしまったのだろう。
そのことへの不満が、嘆きが、この作品には込められている。
私は悪いことをした、でも、それでも私は悪くない。その女性主人公の主張は、そのまま、太宰さんの主張になっている。ま、悪いことしてんだけどね、実際。
しかし、女性を主人公にすることによって、太宰さんの主張は、女性ならではの性質ようなものに変換され、物語を味わい深いものにするための、いいスパイスのようになっている。
最後に、家族とともに、明るい電灯の下で食事をすることが幸せだと書いたところに、世間への負け惜しみと、そんなささやかさに気づけるようになった喜びが、ないまぜになって表現されているように思う。
2010年03月19日 22:50 | コメント (1) | トラックバック (0)
誰も知らぬ
何度目かの、女性が主人公の物語。四十一歳の安井夫人が淡々と語る。
“ 可笑しなことがございました。” で始まる安井夫人の語りは、芹川さんという友人女性との交流について滑らかに続く。途中、芹川さんにお付き合いしている男性がいることがわかって、動揺したりする。
で、芹川さんと青年の交際に反対していたらしき、芹川さんのお兄さんが、ある夜、安井さんの家を訪ねてきて、妹を知らないかと聞く。芹川さんたちが、いなくなったのだそうで。ところが、まあお兄さんはだいたい目星がついているとかで、荷物引っさげて安井さんの元を去る。
そして終盤。あまりにも唐突に、グンッと話しが動く。突如安井さん、立ち去ったお兄さんを追って、なりふりかまわず走り出す。実は、お兄さんと、“ 死ぬまで離れまい ” と覚悟していたのだという。お兄さんを見失い、人気の無い往来で “ お兄さん!” と叫んでみる。
急だな、おい。
しかし、この唐突な展開が気持ちいい。その秘めていた思いは、唐突だが、ありうると思わせる真実味を持っている。
友人芹川さんが日々大人になっていく、その姿を目の当たりにして、若かりし日の安井夫人の中で、なにかがどうにかなったとしても、おかしくはあるまいというものだ。
たしかに可笑しな出来事ではあるが、誰もがなにかを秘めているのだから、どこにでも転がっている当たり前の話とも言えるだろう。
