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太宰さんが学生に「人々は私を何者だと言うかねえ?」と聞いたら、ある学生が「あなたはサタンですね、悪の子です。」と言われ、ひどく狼狽、サタンについて執拗に調べ、オレはサタンなんかじゃねえという事をネチネチと論じ、やがては、なんでサタンだなんて言いやがったんだあいつ、と今さらな疑問を持ち、オレはどっちかっつうとサタンよりその手下の悪鬼じゃないか?と勝手に思い至り、自分が悪鬼かどうかを確かめるために、とある先輩の家を訪ね、かつて自分がその先輩に送った借金の嘆願書のようなものを読み、その先輩が嘆願書に朱筆で入れた書評をけなし、で、自分は悪鬼なんかじゃない、馬鹿だ、と合点し、安心する。のだが、別の人から思わぬ形で「あなたは悪魔です。」と言われちゃいましたわやっぱり。という話。


要約すればこの程度の事を、まあ、のらりくらりと、あれやこれやと、書き綴る。よくもまあ。


内容よりも、手を変え品を変え「悪魔」のことで膨らませる、その手管に感心する。


悪いがこれも、「服装に就いて」の項で触れた、原稿の枚数問題があるのではないかと勝手に意地悪な空想をする。生活のために膨らませたのではないかという妄想だ。そうすれば、「きりぎりす」あたりの、商業作家になっていく自分を戒めるような作品の存在が、グッと意味を持ってくるのではないかと思うのだ。

2010年4月 2日 18:01

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コメント

喜安さんの言葉はいつも、重みがあって、楽しくて、真剣で大好きです。
なんだかいつも、元気を分けて貰っているような。
ありがとうございます。

投稿者 ちょちょ : 2010年4月 2日 18:16

第一感想は、「バカで安心しちゃっていいんか!」でした。
二回目は、やっぱり太宰治って頭良かったんだなぁ…。でした。
事実はまぁ、あったとしても、それをつけたり削ったりコネたり伸ばしたりしながら事実と虚構を織り交ぜながら、時折誇張したり、事実のラインで話してたり、読み手には分かるか分からないかくらいの微妙なラインで気がついたら読み終わってると言うのが、やっぱり凄いと思うのが少し悔しい気もするんですけど、やっぱり感心しちゃうな…。
私はよく同僚に「アンタは利用者さんには女神様なみに優しいけどスタッフには鬼みたいに厳しいよねぇ。鬼と悪魔の境界線みたいな奴だよねぇ。」と言われます。
仕事なんだから仕方ないじゃん!と言えないのがまた悲しい…。
太宰氏は「バカと○○は紙一重」の典型なんじゃないかとおもうんですけど、私だけですかね…。

今日も1日本当にお疲れ様でした。
今日は浩平さんにとって、どんな1日でしたか?
いいことは、ありましたか?
明日が浩平さんにとって、1つでも多くある素敵な1日になるように願っています。あまりムリしないで下さいね。
夜分にすみませんでした。

投稿者 良湖 : 2010年4月 3日 02:02

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