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みみずく通信

新潮文庫版「きりぎりす」に収録されている、「佐渡」の、佐渡に渡る前の新潟でのエピソードが綴られている。


お、つながった、という小さな喜びがある。太宰さんは案外たくさん文章を残していて、全てを網羅するのは大変だが、こういう喜びを与えてくれる事で、この先もひと通り読もうかという気にさせる。


新潟の学生たちが生意気で良く、そんな学生にムキになる太宰さんもまた良い。まあそうか、自分と自分に関わった若者の事を書いているのだ、毒っぽくとも、ちゃんと良い具合に感じられるように書くわな、そりゃ。そこはほら、太宰さんだもんな。


「勉強し給え。おわかれに当たって言いたいのは、それだけだ。諸君、勉強し給え、だ。」


という太宰さんの学生へ向けての言葉が、ペラくて笑えるのは、私の性格が悪いからか。あるいは、太宰さんが自分をほんのり卑下するために、あえてそう書いているのか。まあいずれにしろ大人はこう言うしかないとは思う。なんせ真実だから。だが、なんせペラいのが良い。そのペラさは、「給え、だ。」という言い方にあるような気がするが、これ、声に出して言って見ると、なかなかに、この「、だ。」の面白さを出すのが難しい。面白く言えたい文章だ。皆さんも言ってみると良い。

2010年4月 2日 12:52

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コメント

実は、読む順番がバラバラで、この“みみずく通信”と“佐渡”が繋がってるんだ!と気づいたのはみみずく通信を2回目に呼んでる途中だったんです。
一度目は完全に読み流してましたね、私。読み流して“佐渡”を読んで…。
高校の時にまた“みみずく通信”に戻って。って感じでした。
二度目だと太宰氏の緩さと言うか軽さと言うか…取り敢えず太宰氏らしさが要所要所に散らばっていて面白かったですね。
「勉強し給え、だ。」は、ちょっと太宰氏らしくて面白かったです。
そして案外言いづらかったです…。
私には言えませんでした。

投稿者 良湖 : 2010年4月 3日 01:12

「みみずく通信」もいいですよね。
太宰に触れる感じがして。 ライブで読んだとき、お客さんから、「意外と普通の人だったんですね」って感想がありました。「勉強し給え、だ。」 これ、ほんと好きです。

投稿者 kiyo : 2010年4月 6日 23:37

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