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ろまん燈籠

ここから、新潮文庫版「ろまん燈籠」へ突入。ようやく6冊目。全部で18冊。「ろまん燈籠」はまだ短編が多く、軽快に読めそうな気もするが、この先はどんどん長編が増えていく。気が遠くなるけどファイト、オレ。


「愛と美について」で登場した5人兄妹が再登場する物語。正確には、5人兄妹のというか、5人兄妹が書き継いでいく物語と、5人兄妹自身の日常とが同時に描かれる物語。彼ら5人を介して物語を書く事を、お気に召したらしい。なんかわかります、そういうの。


長兄は愚直で無粋、長女は眼鏡で聡明、次兄は病弱で美男だが俗物で、次女は猛烈なナルシスト、末弟は大人ぶりたい未熟の青年。といった案配で、どのキャラクターも個性的で実に豊かである。


「愛と美について」と同じく、5人兄妹がリレー方式で一つの小説を書き上げていく。兄妹それぞれの性格が、そのリレー小説の行く末を、二転三転させ、いびつだが、振り幅の広い、味わい深い作品を作り上げていく。


母や祖父祖母ら、兄妹の周囲の家族も魅力的で、太宰さんにしちゃあだぁいぶ毒気が無い。もちろん、兄妹っつか作家の主張じゃん、と思われる部分は散見するわけだが。


なんというか、お手軽な娯楽作のような、楽な心持ちで読めるので、たまにはありがたいです太宰さん。

2010年4月 2日 10:49

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コメント

毎日お疲れ様です。
随分とご無沙汰してしまいましたが、お変わりありませんか?
私はバタバタと忙しくて風邪をひいている暇さえありません…。
舞台稽古、始まったんですね。
大変と思いますけど、ムリしないで下さいね。
ろまん燈籠は面白いですよね。
個性の強い人でストーリーを進めるとここまで話って面白くなるのかぁ。と思ったのをまだ覚えてます。
身構えなくても読めるお話、大好きです。

投稿者 良湖 : 2010年4月 3日 01:00

まだまだですか・・・。

喜安さんファイト!

愛と美について同様個性的で、この作風はとても面白く、卓越しているように感じます。
ろまん燈籠は太宰さんが一人で書いてるのを忘れそうになります。

投稿者 りか : 2010年4月 3日 02:39

先日はお世話になりました。 mitaka arts news のインタビュアー原です。インタビューという仕事を忘れてしまいたいくらい、時間を忘れて、お話したいくらい、胸がざわざわしました。公演、楽しみにしてます!

「愛と美について」の博士と別れた奥さんの話が好きで、
ライブでも何度か読みました。 笑わせて、ほろって落ちが
いいですよね。

投稿者 kiyo : 2010年4月 6日 23:33

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