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水仙

これも、芸術にとらわれた女の悲しさが冷酷に描かれていて、とても厳しい。


全部説明してしまうのは野暮なので書かないが、ざざーっと説明すると、「周りに褒めそやされて自らを天才と信じた女が、やがて誰の言う事も聞き入れなくなり、家を飛び出して芸術家を気取るのだが、いつしか耳そのものが聞こえなくなり、自らの能力にも絶望し、孤独に生きていくしかなくなる。」という話。なんとも救いの無い話ではないか。


太宰さんお決まりの、自分や自分の考えを主張してみせるスタイルは、やや影を潜め、いたってノーマルな悲劇小説という印象である。

2010年3月31日 15:44

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コメント

こんばんは、浩平さん。
お疲れ様です。
水仙は、奥さんの胸中を知って読むのと知らずに読むのとでは全く印象の違う話だったと記憶しています。
太宰さん以外の人に天才と煽てられ家を出てみたはいいけれど気づいた時には手遅れで…なんて、やるせないですよね。
“今でも夫を愛しています”
だからこそ夫の所に戻る事の出来ない奥さんの気持ちが痛かったです。
戻れないと思いながら夫のもとに連れ戻され自殺してしまった奥さんにとっての幸せは、ドコにあったんでしょうね…。

投稿者 良湖 : 2010年4月20日 22:39

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