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風の便り

40前の売れない作家(木戸一郎)と、50過ぎの高名な小説家(井原退蔵)による、往復書簡だけで構成されている作品。


手紙で構成されていると言えば、「虚構の春」を思い起こすが、あれは送られて来た手紙だけで構成され、本人が相手に送ったであろう、メタラクタラな手紙は読者の想像にお任せする形になっている。


「風の便り」は、互いの手紙に互いの主張が込められ、ぶつかることで、太宰さんの中の矛盾する二つの考えが、同時に描かれるところが妙味と言える。木戸さんは現実を嘆き、井原先生は正論を言う。小説家として、どっちも間違った事は言ってないところがミソだ。


互いが手紙の中でだんだん熱くなっていき、往復するごとに喧嘩腰になっていく様子が、真剣なだけにバカらしくて、面白い。


この作品は、どうにかして「Do!太宰」本編に盛り込めないかと、すでに検討に入っているので、興味のある方は要チェック。

2010年3月31日 13:43

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