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二十世紀旗手
序唱から始まり、数えて十二の唱からなっている。
神をも恐れぬ青年が、恐れを知らぬばかりに神の罰を受けて、あーもー地獄だ。みたいな序唱から始まる。
六唱、「秘中の秘」編集部とのやり取りが、果てしなく情けなく、これはもう喜劇だ。太宰さんの前置き、そしてそれに対する「秘中の秘」編集部の爽やかな冷酷。笑える仕組みになっている。その後、八唱でどうやら太宰さん、なんだかんだいちゃもんのようなことをぶつぶつ言ってたかと思ったら、やがて「秘中の秘」編集部へ乗り込んだらしく、そこでの会話もまた喜劇だ。「秘中の秘」編集部の、“・・・・・・・・・。”という無言がいい。いいリアクションだ。「秘中の秘」編集部の、“そんなら歩いて帰りたまえ。なんだい、君、すぐそこじゃないか。”もすっかりツッコミではないか。
それにしても「秘中の秘」。いい響きだ。どんな雑誌だ。どうでもいいけど。
幾つかのアイディアを、うまいこと混ぜこぜにして構成したような印象がある。実際はそうでないかもしれないけど。
終唱で、楽屋落ち的な、太宰さん本人の談のようなものが出てくるのは、まあ、無くてもいい気がしました、太宰さん。
2010年3月 7日 19:29
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コメント
二十世紀旗手は、一度目の最終的な感想は「面白かった」んですけど、初めの率直な感想は「長っ…。読めるかな…」でした(苦笑)ちゃんと読めて読み終わった時ホッとしました。
編集部の方と太宰氏のやりとりが無ければ乗り越えられたか微妙でした。
私は意外と本の厚みで一度軽く怖じ気づくとこがあるんですけど、この話は案外お気に入りなんです。
妙にワクワクしちゃって。
読めば読むほどこのお話って視点を動かして読めるので、私的には楽しく読んでます。
投稿者 良湖 : 2010年3月 9日 21:09