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陰火

巻末の解説によると、「逆行」と対をなしているのだそう。たしかに「逆行」同様、四つの掌編からできている。


四編ともに女が印象的。“ 水車 ” はわかりやすく、“ 尼 ”はまるで夢を見ているように困惑させるが、どちらもエロティック。“ 紙の鶴 ”も“ 誕生 ”も、表に出ては来ないが、妻の存在が大きく、その妻の秘めた何事かが、多く語られぬだけに興味をそそられる。太宰さんは、ちょくちょくちょっとだけエロいと思わせる。


表向きには、やはりその時々の太宰さんの心象が反映されているのだろうと思わせる、侘しい男の様子が執拗に描かれている。ちょっとこの時期の作品を読むことに飽きてきたよ、正直。だって、オレオレオレオレなんだもん。「晩年」読破まであと一作。

2010年2月12日 16:59

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