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逆行

「蝶蝶」「盗賊」「決闘」「くろんぼ」の小作四編からなる作品。


タイトル通り、逆行していく。


四編それぞれに、主人公と太宰さんの関連する部分を見つけてしまうので、おいおいこれまた太宰さんじゃん、てことになるのだが、そう思って一作目の「蝶蝶」を読むと、絶望とおどけが混然としていて、なんとも奇妙だ。そらそうか、「蝶蝶」だけは架空の度合いが他より強い。自分で遊んでいるのだな、これは。


そして遡っていくことで(逆行)、その時々の絶望が見え、一つ一つのそれはなにかを決定的にするほどのインパクトで主人公に襲いかかるものではないのだが、折り重なることで、その絶望が深いものに感じられる。幾重にも重なっているのだね、となる。


そういう作りが面白いと思うのと、架空なら架空でよく自分のことに結びつけるなぁと思うし、事実なら事実でよく自分のことをおぼえてるなぁと思う。

2010年2月 7日 00:53

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