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魚服記

悲しいお話だと思った。哀しいと言った方がよいか。


ちなみに、「かなしい」には、悲しい、哀しい、愛しい、と少なくとも三通りの書き方があるという。愛しいとは、なかなか意味深な表現だ。


少女の哀しみが、淡々と、しかしファンタジックに描かれていて、切なくて、そこが良い。


どうにもならない生き苦しさがあり、そこから逃避しようとしたところで、その人の領域というのはやはり決まっていて、そこから抜け出すことはできない。とやんわり突きつけられる。なんともやりきれない話だ。


しかしどこか優しい印象を受けるのは、少女の愛らしさを過剰にならぬよう、適度に表現しているからだろう。


やはり太宰さんは女が好きだったのだろうと思う。

2010年2月 4日 00:40

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コメント

関係ありませんが、私も観ました報告をさせて下さい。
以前喜安さんがブログでおっしゃっていた“SLUM DUNK 10 DAYS AFTER”を店頭で見つけて購入しました。


いい歳したいかついおっさんが体痛めながら本気で絵を描いていたりして、でも笑う気にはなりませんでした。
何より本来は映画で言う所のメイキング映像のはずなのに、不思議と映画本編を見ているように引き込まれました。
やっぱ行きたかった。と思ったのです。
本気で物を作るってのはここまですごいのかと、感慨深いのです。
それを見ず知らずの他人に受け入れられるなんてのはちょっと羨ましくもあります。
これを見て井上さんはもちろん、ジャンルは違えど喜安さんはすげえ事してんだなと改めて思ったのです。
見終わったばかりで興奮しとります。長文乱文失礼しました。

投稿者 櫻 : 2010年2月 4日 21:14

哀しい話ですよね。
息苦しくてやるせなくて、でも読む手を止められなかったお話です。
最後まで読んで思った事はやっぱり「哀しい」「苦しい」でした。でも、この話は今でもたまに読み返したくなる時があって、今でも読み返しています。

投稿者 良湖 : 2010年2月 5日 11:57

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