東京八景
太宰さんご自身の、上京してからおよそ10年のダメっぷりが描かれている。漠然と抱いていた太宰さんのダメっぷりの一部が、ようやく具体的に知れた。そういう意味で大変ありがたい作品だ。
でまあ、ありがたいが、出来事自体は全て事実としても、どこか全体に太宰さんのテクニックが働いているような気がして、まんま受け止める気はないぞ、とも思わせる。なんだろうね、ナルシストというかね。
何度も自殺を繰り返し、女も手放し、借金まみれ、世間からも見放された太宰さんが、
“何の転機で、そうなったろう。私は、生きなければならぬと思った。”
らしいのだが、その理由を幾つか挙げているうちの一つに思わずにやついた。
“下宿の一室に、死ぬる気魄も失って寝転んでいる間に、私のからだが不思議にめきめき頑健になって来た“
のだそうだ。寝てたら元気になっちゃったとは。なんとも間抜けな話ではないか。
そこが、なんともバカらしく、素晴らしいと思った。
2010年1月29日 18:20
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コメント
生きていれば何だってできます。ツライことも悲しいことも沢山ふりかかってくるけれど、命あってのものだと私は自分に言い聞かせています。
自分の悩みなんて、世界規模で考えたらとってもとっても小さなものなんだって思うようにしています。
でないと自分自身も押しつぶされそうになってしまうから。
毎日、前向きに前向きに明るく前進していく自分でいたい。
寝てたら元気になっちゃうって、いいことよ。
明日もがんばろう!にょほっ。
投稿者 ちょちょ : 2010年1月29日 22:41
お早うございます。
今日もお疲れ様です。
東京八景は、ダメっぷり炸裂感が好きです。
読みながら結構「イヤイヤ…」とか「あり得ないから」とかブツブツ言いながら読みました。
私は結構好きです、この話。
走れメロスは、語り継がれる間に名作と言われるようになってったのに、「ダメじゃんメロス」とツッコミたくなる辺りが好きです。あぁ、メロスも普通の人なんだなぁって読み終わった後にただ漠然と思ってたような気がします。
投稿者 良湖 : 2010年1月30日 09:18