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ここ数日のことを

 おひさで。

 書かなかった間に、用賀で飲んだくれた高田延彦に首根っこ掴まれたり、渋谷でキャッチやってるお兄ちゃんにキャッチられそうになったり、近くの古着屋を探索してたらメンバーの金田に目撃されたり、ついに稽古場に井上順さんが現れたり、「ドントラ」のサントラ用にコーラスを録音したり、朝までナイロンのリエさんと新谷さんと飲んだり、いろいろあってくたびれた、もう。後半の方はそんな大変なアレでもないのですが。

 高田さんは、「今度のPRIDEは凄いよ、凄い!」とひたすら繰り返し、盛り上がる男性諸氏に対戦カードのヒントを出すのですが、酔っ払ってるのでしょう同じことしか言わず、そのうちみんな飽きて話を聞かなくなってしまい、しかしたまたま対面(トイメン)に座っていた私は、いやがおうにも目が合うもんだから、帰る寸前まで話を聞かされたのでした。で、しかし結局対戦カードはわかりませんでした。実際手も体も大きく、横におねえちゃんはべらせて、隙あらば腰の辺りをまさぐったり手にキスをしたりしている様を見せつけられると「この店は今、力が支配している」と思わずにいられませんでした。世紀末とかじゃなくてよかったです。ちなみにその店にはちょっと前には山下真司(スクールウォーズ)が来ていたらしく、周りの男達と腕相撲をしてはそれらをなぎ倒し、しきりに「みんな弱いなあ、みんな弱いなあ」と息巻いていたらしく、ああ、やはり力が支配しているなあと思ったのでした。この社会には、確実に「力」が幅を利かせる場所があるということです。

 渋谷を歩いていたら、チンピラ以上ヤクザ未満、みたいな、大きめの薄茶のスーツに黒いシャツ、ノーネクタイで、淡いグレーのサングラスにびしっとオールバック、っつういでたちのおにいちゃんに呼び止められました。無視もできたんですけど、もったいないと思ったので立ち止まってみたのです。で、異常に快活に、凄いスピードでまくし立てるおにいちゃんの言葉をよーく聞いてみたら、映画に関するアンケートらしかったので、月に何回映画見るか?とか、そういう他愛のない質問に答えまして、で、あれこれ答えるうちに気がついたら、おにいちゃん、なんか紙にお金の計算みたいなのを書いて私に説明してまして、大雑把に言うと「今から紹介するチケットを使えば月々好きなだけ映画が見れる」みたいなことなんですけど、私はそれがあまりのスピードで説明されるので「ふーん」てなもんで聞き流しておりましたら、やおらそのチケットに名前を書けというので、迷ったのですがここはもう一歩、と思い、嘘の名前を書いてさらに話を聞くことにしました。そしたらおにいちゃんが「チケット何枚欲しい?」って言うから適当に「5枚」って答えたんですけど、そしたらおにいちゃんチケットもぎりながら「これは限定サービスのチケットだから渡しちゃうと返品も何も効かなくなるから」とか言って私にそれを手渡し、で、おもむろに計算を始め「えーっと。3000円の、あなた含めて6枚だから1万8千円ね」と言って手を差し出すのでした。もちろん私は「払えん」と答えました。

 おにいちゃんの顔色はがらりと変わりました。笑顔が消え、なんかつめたーい怒りの表情です。「なに言ってんだよ、返品きかねえつったじゃん。ふざけんなよ。」今までの快活さが嘘のような響きです。それでも私は「払えないっすね」と答えました。するとおにいちゃん、サングラスを取りました。一重の瞳が鋭く私に突き刺さります。「あんた説明聞いてたろ?返品はきかねえんだよ。もぎったらおしまいなの。払ってよ。払ってくんないとオレの負担になるからさ」おおむねそんなような事を言うので、さすがに申し訳ないなと思い、私は丁重に「払えないんすよねぇ」と答えてみました。するとおにいちゃん、私の言葉を聞くか聞かないうちに、路上に唾を吐き始めました。第2作戦です。そして言いました。「じゃあしかたねえな。住所と名前聞いて、あとで支払ってもらうようにすっから。書け、住所、名前。あ、電話番号も書いて。」さすがにそんなもん書いちゃったらまずいのは私にだってわかりますし、嘘もいいかげんばれるとまずいと思い、ここで私のほうも最後のカードを切ることにしました。「いや、それはむりっすねぇ、だったら交番言って話ししますか?」
するとおにいちゃん、チケットをしれーっとかたづけながら「あんたひやかしか?ひやかしか?」と聞いてきます。私は「ひやかしじゃないっすよ。払えないんすよ。これに払う金はないんす」と答えました。やがてすっかりチケットをひっこめたおにいちゃんは、「ひやかしじゃないんだね。いいよ、わかった。お仕事頑張って」と言って私を開放してくれたのでした。やっぱりうしろめたいんだね、おにいちゃん。そしてごめん、やっぱり半分ひやかしでした。街には危険がいっぱい、のそのわずかな一端を垣間見た昼下がりでした。

 順さんはさすがでした。来てすぐ台本を渡され、それをすぐさま頭に入れると、自分の引き出しの中から適切な技術を出してきて芝居を成立させてしまいます。そして味。これは見逃せません。

 プライベートでたまたまメンバーに出くわす事ほど恥ずかしい事はありません。なるべく出くわさないようにこっそりこっそり生きてきたはずだったのに、うっかりだったのは、最近金田が私の住んでる街に越してきたっつうことです。まったく、油断ならんよ。

 リエさんと新谷さんと、夜通しナイロンのこと、稽古の事、あとなんかいろいろなことを話したのでした。夜通し語り明かすなどなかなかないので、非常に刺激を受ける良い時間となりました。ブルにも当てはまる所があるような無いようなで、活かせるかどうか私次第なのでしょう。

 録音したのはM1、つまり一曲目。私は低音を担当しております。

 ざっくり振り返りました。高田とキャッチが濃いめですが。

 えー、次回作が少しずつ、ほんとに少しずつ形になり始めています。もう少しお待ちを。

 それから、今日、野原の客演していたお芝居「四月のアラベスク」が楽日。お疲れ野原。ごめんな、ゴリは仕事に稽古に追われて観に行けなんだ。せっかくのお誘い、蹴ってしまってすんませんでした。次はブルでしくよろ。

 ではまた。

2003年4月14日 00:02

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