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一歩最後の日

 「青空と複雑」をビデオで見た。本番中に記録用として録画しておいたものだ。見て思ったこと。

 へったくそー。

 どいつもこいつも下手くそで困る。私も含めて。よくもまあこんな、あ、すべった、あ、とちった、あ-あ、微妙-。まったくもって恥ずかしい。毎回のことだが。毎回ビデオを見てはへこみまくる。見るんじゃなかったと後悔する。見なければ苦しまずにすんだのに。

 いい引き締め効果でした。もっとびしびしやってやると心に決めた私であります。たくさんダメ出ししてやる!よーし!おい寺井!かむな!あと寺井!胴が長い!それから寺井!変!んーと寺井!このやろー!・・・今日のところはこの辺にしとこう。他の連中も気を抜いたらこうだからな。おぼえてやがれ。

 ホームページに終了した公演の報告を載せるのは前回の番外公演から始めたことで、今回もその終了報告を作るためにビデオを見るはめになったわけなのだ。

 マルケスの「予告された殺人の記録」を読み終わった。大変楽しめた。ジリジリと、しかし確実に高まっていく緊張感。伝わってくるのは町の温度や湿度、臭い。南米の、熱帯の、行ったことないから知らないんだけど、きっとそういった地域独特の風景というか空気、文化的背景が生む人間模様が私は好きだ。短編だからこそぎゅっと濃縮された感じで、そこもよかったのではないか。さっそくもう一冊、一緒に買っておいた文庫本を読もうと思う。「エレンディラ」という短編集である。さて、どうだろうか。

 マルホランドドライブは、3月になったら近所の映画館で上映されるようなので、慌てず時間を見つけて観に行こうと思う。

 今日、といってももう昨日か。「はじめの一歩」の最後の収録を終えた。一年半、スタジオに通い続けた。長いようでやはり短い。短かったなあ。まあ、なんかひと区切りついた気分。で、息つくヒマもなく次の生活が始まるわけだが、やはり「一歩」は特別だ。感慨深い。なんせ私が役者として初めていただいた「仕事」である。役者で金を稼ぐ。そう決めて東京に出てきて、でもそんなあてはなく、それでも目の前のことを必死でこなしていくうちに掴んだ、初めてのお金になる演技だったわけである。もちろんそれ以前に、ナイロン100℃という人気劇団の正メンバーになれたという、やはり大きな区切りがあったわけだが。でも世間はなにかを生み出さないと認めてくれなかったりするでしょ?おおむねお金だったりするでしょ?私は「け、金なんか稼がなくったってスゲエことやってんだよ」的なアレはなく、ちゃんとお金も稼いでみせることで「どうだ」と言いたいくちなので、ほんと嬉しかったんだなあ。「一歩」の役いただけて。

 ようやく親に報告できる。そう思ったものでしたよ。
たいしたことないかのように、気持ち押し殺して電話をしたものですよ。親も親で気持ち押し殺しながらマガジンとか買い漁ってましたよ。今じゃ当たり前になっていっちょ前に私の演技を批判したりしやがりますよ。

 区切りを迎えて、しかし思うことはもっとああすれば、もっとこうすればという反省ばかり。自分の一年半は、上達だったのか、それともただの慣れだったのか。考えれば考えるほどに上ははるか高く、調子にのってんなこのゴリ。な心境でありますです。

 声の仕事だけではない。役者として、作家として、演出として、自らに、とどまることを許さず、精進を続ける。そう思わせていただいた、区切りの一日だったわけです。

 えっと、まだ、たぶん、だからアレなんですけど、アニメ「はじめの一歩」は、たぶん、たぶん、また皆さんに御覧いただけるのではないかと、たぶん、そうではないかと、ね、まそういうアレがね、アレなんで、ひまがあったら、ほんとひまがあったら御覧下さい。もちろん今の放送は3月いっぱいまでありますのでそちらもぜひ。よろしくお願いします。おもしろいよ。

2002年2月28日 04:02

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