はしいくみ・鳴海由莉が、2021年5月31日をもってブルドッキングヘッドロックを退団することになりました。
はしいくみ・鳴海由莉から退団のご挨拶です。
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お久しぶりです、ブルドッキングヘッドロック劇団員のはしいくみです。
昨年、2020年を迎えてから私の頭を退団の二文字が掠め、その二文字を無視したい自分と葛藤を抱えて迎えた2021年春、ふと「時が来た」と思う瞬間が私にもやってきましたので、劇団を退団いたします。
劇団には約11年在籍しました。
初めてブルのお芝居を見たのは2009年の『女々しくて』で、若手劇団ではなく自分より少し上の世代の人たちがこんな小さな空間で、汗だくになりながらなんて破茶滅茶やっているんだ!と心が踊りました。それから客演を経て喜安さんの作品と劇団に惚れた私は入団希望を伝え、あの日、たしか魚民だったと思うんですが、個室にぎゅっと全員集まって笑顔で迎えてくれたこと、忘れません。
入団して改めて、この人達はブルが大好きなんだなぁと思いました。
そこへ迎え入れてもらえた喜びと、この集団にどういう化学変化が起こるのか(それが新人の使命だくらいに思っていたところもあり)ドキドキした気持ちと…結果ご迷惑をおかけしてしまったことも多々…その節は本当にごめんなさい。
だけどクビになりそうになっても、先輩と喧嘩しても、さちんさんが退団すると言っても、それでも絶対に辞めたくなくて、ブルを何とか守って盛り上げていきたいという気持ちでしたし、ブルが爆発してこの世から消失するときまで自分は劇団員だと思っていました。
少々戸惑ったりしていた新人時代から約11年の間に、自分の中でブルは当時の自分が想像していたよりも大切なものになっていました。
世界がゆらぎ続けたこの1年数ヶ月、家にこもりながらも私は新しい趣味を得ました。また、初めて続けたいと思う仕事にも出会いました。
その2020年は劇団がちょうど設立20年を迎えた年でもあり、私はここまできてやっと、今までブルを育んでくれた先輩方に「自分が出来ることをやった」と言えるようになったと(頷いてもらえるかはわからないけど)、自分に付きまとったあの後ろめたさがスゥーッと消えていくのを感じました。
そういうタイミングで出会った新しい趣味と仕事。ブルという星から別の星へ行ってみよう、そんな風に思えるようになったのです。
とはいえ、個人の集合体である劇団にももちろん変化は起こっていて、有志と真剣に話し合う最中、私は退団の時期を延ばそうかしらと迷ってしまったのですが、これからのブルも愉快になりそうな気配を5月13日(あの日!)にほんのり感じ、予定通り5月末で退団することに決めました。
なのでこちらのご報告がギリギリとなってしまいましたごめんなさい。
(なんなら一枚企画書残していこうか!くらいの気持ちでギリギリでした。)
色々大変だけど今のみんなもブルが大好きだといいなぁ。
愉快で幸せな時間を沢山過ごしました。やりたいことも沢山やらせてもらいました。
一方で大変なことも山程あって、気が狂いそうだと周りを見たらみんなも気が狂いそうな顔をしていた日のことを覚えています(他の思い出!)。仲間がいることのありがたさを感じました(他の思い出…)。
関わってくださったスタッフの皆様、客演の皆様、劇団員のみんな、一緒にお芝居やってくれて、劇団活動させてくれてありがとうございました。
観に来て頂いたお客様、応援してくださった皆様、今思えば感謝の気持ちを全然返すことが出来ず不甲斐ない気持ちですが…感謝の気持とともに皆様の幸せを心より、心より祈っております。
私にとって演劇は人生の一要素なので、いつかどこかの街の片隅で小さなテントの前に空き缶置いてお芝居やってるかもしれないな、とそんな気持ちでいます。
集団で作品を作るってすごく大変なことだけどそれに挑むのはやはり素晴らしいことだと思うので、これからもブルをそっと見守っていきたいと思います。
よければこれをお読みになった皆様も、ブルをそっと見守っていただけたら嬉しいです。
約11年間、ありがとうございました。
2021年5月27日 はしいくみ
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鳴海由莉です。
この度、ブルドッキングヘッドロックを退団いたします。
これまで小劇場で役者をしたり芸能のお仕事をしたりさせていただいておりましたが、いわゆる役者業も引退いたします。
劇団員としての月日が最も濃くて長いお付き合いなのでいろんな感情はもちろんあるのですが、とても前向きな決断です。
田舎育ちの夢見る小娘が、ひとりでは決して出来ないことに挑戦して、経験と年齢を重ねて、後悔なく退けることはただただ幸運だなあと思います。
ですので、今までに出会った皆さまには感謝しかありません。
お会いしたおひとりおひとりが今の私を形成しているので、勝手ながらこの場を借りてお礼申し上げます。
演劇を通して励ましのお言葉やお手紙や応援いただけたこと、本当に本当に嬉しかったです。
劇団の仲間たちとの絆も財産です。
ブルドッキングヘッドロックが丹精こめてつくってきた「役に立たないこと」が今もどこかですくすくと芽吹いていることにいつも思いを馳せています。
ありがとうございました。
また、どこかで。
2021年5月 鳴海由莉
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