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試みています

どうも。おひさです。


今は昼です。暑いけど、外も悪くない気候なもので、今、外でこれを書いています。書き終わる頃には気が遠くなっているかもしれません。その時はどうか助けてください。


さて、何度も、ブログを書くぞ書くぞと申し上げながらなかなかそれが実現しないので、もはや皆様にとりましては私なんぞ、狼少年のようなものでございましょうが、狼になるのは狙った女性の前でだけ、なんつって、せめてお口だけでもそう言い張りたい私ですので、どれほど時間がかかっても、たまには書くのです、ブログを。おヒマならお付き合いを。


そして今日ここに書くことは宣伝です。いや、宣伝だけど宣伝じゃないのです!なにを言っているのか。


ここに書くのは、思索の断片。独り言のようなもの。この独り言に興味を持たれた方に限っては、まるで宣伝のような効果を与えるのではないかと、そんな甘い期待を寄せている次第です。


来る11月、我々ブルドッキングヘッドロックは、駒場東大前のアゴラ劇場において、『バカシティ』という作品を上演します。新作です。劇団員の大人と若手を二手に分け、さらにバラエティに富んだ客演陣を交えて、2バージョンで計24人のバカが切った張ったする、いや、実際には穏やかに稽古し合う、そんな公演です。


落語をモチーフに、バカみたいなことを、バカみたいにやってみようという、大きくて、どうでもいい心意気だけが今、ここに、しっかとあります!ほらね。すでに幾分バカでしょうが。


ま、『バカシティ』の本当のところは、この先、またここに書き残すことにいたします(「ブログを書く」が来たぞー!)。


今、私が考えたいことはそのプレイベント、『前座』のことです。


先に結論を言うと、私はこういうプレな企画を、我が集団の定番のようなものにしていきたいのです。効率の良し悪しや、程度の良し悪し、志の高い低いなどはこの際、別で議論するとしてです。


演劇は、その目で直にご覧いただくまで、その内容、その価値について、確かめていただくことができません。特に我々のように、常に新作を、しかもスタイルを転々と変化させ、あえて煙に巻きつつ、どいつもこいつも無名の役者ばかり、となると尚更です。


劇団名は聞いたことがあっても、各劇団員の各所での活動は知っていても、それが、次の公演を目撃すべき価値を保証する決定的な一打にならないことを、これまでの活動で嫌というほど噛みしめてまいりました。せめてここに、すでにしっかと品質を保証してくださる作家さんがいらっしゃったらと思ってみるのですが、いかんせんここにいるのは私です。決定的な一打にはならないことを、これまでに嫌というほど噛みしめております。


もちろん、すでにその価値をご承知くださっていて、頑張れよーと、観に行くよーとおっしゃってくださる、ちょっとおかしな方々もたくさんいらっしゃることを重々承知しています。でも、正直、もっとです。我々はもっと出会わないといけない。僕らの提案する価値を面白がり、足を運んでくださる、ちょっとおかしな人たちに。


さもないと、いつか僕らはやれなくなるからです。


というわけで、これまでもユーストリームで過去の公演を動画配信したり、色々と試行錯誤を重ねてまいりました。


でも我々の主な表現手段は演劇です。演劇は、ある場所で、演者と観客が居合わせて、幾つかの現象を、物語を、ともに体験しようという営みです。だからとにかく、ともに体験することが、目撃すべきだけの価値や、我々の言わんとするところの「おかしみ」を、最も具合良くご理解いただけるのではないか、と考えます。


だけど得体が知れませんからね。足を運ぶどころか、どう興味を持てばいいのか、どう吟味すればいいのか、どう論じればいいのか、いろいろよくわかりませんよね。


そこで実行に至ったのが、本編やる前にみなさんと一度会ってみる、という方法です。


みなさんにお会いして、こんなことをやります、今こんなことを考えています、をお報せする会を開催します。本編への入り口をご用意するイメージです。


2ヶ月も前の開催ですから、プレと本番ではすっかり変容している点もあると思いますが、ああ、それが稽古というやつなんだな、と思っていただくと、日々ツイッターなどで垂れ流される稽古場からの声も、味わい深く聞こえてくるのではないかと想像します。


映画における試写会とも、食品における試食サンプルともちょっと違う、「さあ、ここからなにか作りますよ」という、原材料のようなものをお見せする会です。


あるいはあれかな、プロ野球が春季キャンプを公開する感じでしょうか。キャッチボールしているプレイヤーや、ノックを受けるプレイヤー、ちょっとしたサインプレーを試すプレイヤーたちを、覗き見る感覚は、もしかすると少し近いのかもしれません。期待したい若手や、間近で見てみたい大物を見つけるような醍醐味もあるでしょう。さほど大物はいませんが。あと、試合でやることをそのまま見せるほど呑気なチームもございませんし、うちにあるのは野球ほどの感動ではなく、ほぼくだらなさばかりなのですが。


この考えに対し、予備知識は邪魔だと思う方もいらっしゃるでしょう。大丈夫、見ておかいないと本編が理解できないような、そんな重大なことにするつもりはございません。わかってなくていいし、皆さんとベタベタするつもりもない。観に来なくても全然大丈夫です。だってそう思われる方々は、すでに我々の作品に価値を見出してくださっているのですから。ぜひ本編を楽しみに待っていてください。


一方、我々がなんなのかちょっと確かめてみたい方、もう少し我々に親しみを感じてやってもいい方、作品の楽しみ方に選択肢を持ちたいという、ちょっとおかしな方は、ぜひ足を運んでみてください。


ちょっとおかしな体験をご提供いたします。


私は『前座』において、主に作品について喋ることをしようと思います。なにしろ、未だどこにも無い作品について喋ることができる人間はさほどおりませんので。それが愉快かどうかはわかりませんが、無いものについて熱心に語る人というのは、おうおうにしておかしなことになっていると思います。狂ってるとは言わないでください、一応傷つきます。


俳優さんたちには、体を使って何かを試してもらいます。今回でいうと、落語に挑戦です。これ、彼らをかばうわけじゃありませんが、クオリティじゃないですからね?こんなことをやります、今こんなことを考えています、をお報せする会ですから。本編へのスタートとして、「こいつら、こんなとこから這い上がる気か?」と思っていただいて、以降本番まで、固唾を飲んで見守っていただければ幸いです。


どうですか?どうもこうもないですか。


で、こういった企画を、いい按配を探しながら続けていきたいのです。僕らは、「おかしみ」で出会いたい。「おかしみ」を求めている皆さんと。そのためには、おかしみ続けていなければならないと思うのです。


こういった入り口をご用意して、僕らの「おかしみ」を一人でも多くの方が体験してくださったら、ほんとね、ほんと、もすこし良い世の中になると思いますんですよ。なんてね。


僕らの暮らしに「おかしみ」を。 また。

2016年8月10日 21:44 | コメント (0)