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広島アステールプラザ演劇学校に寄せて

広島アステールプラザでの、2014年度演劇学校「劇作家コース」が、全日程を終了しました。

昨年に続き2年連続で声をかけていただき、担当の金沢さんを初めとするアステールプラザの皆様には、大変感謝いたしております。

わざわざ東京から広島まで出かけて行って、メールでも確認できるものを、筆者の目の前であーだこーだと解体、咀嚼して行く。効率も悪いし感じも悪い仕事ですが(笑)、お陰様でこちらにも気づかされること、勉強になることが多々ありました。人になにかを伝えるには、人となにかを考えるには、知性も感性もともにフル稼動させていなければならず、講座に参加している間は、私自身、頭の休まる暇がありませんでした。大変なトレーニングになったと自負しています。また、目の前に一緒に考える人がいることの緊張感と安心感を実感できたことも、今後の創作の一つの糧になると信じています。実に貴重な体験でした。

もちろん私のための講座ではありません。参加された受講者の皆さんに、なにかしらの手応え、成果があった、、、はず、、、だと、願っております。

しかし、広島に新たな演劇を根づかせるには、あるいは花開かせるには、まだまだまだまだ時間が必要なようです。

常に複数の表現者が行き交うような場所、それが劇場なのか、スタジオなのか、或いは稽古場なのか、有り様はいろいろあるかと思いますが、そういう場所ができていかなければ、競争も発見も革命も、起きようがない。その一端をアステールプラザさんが担おうとしてくださっているところに希望は感じられますが、劇的に変るには、若い人材の育成、つまり教育面での変化も必要であることは、他県、他地域の演劇シーンを垣間見るだけでも明らかでしょう。広島の若い男女よ。いろいろあるだろうが、演劇もあるよ。と、大人が示してみせるしかないのです。これ、どうすれば偉い人に届くのでしょうか。せっかく広島大学学校教育学部にいたというのに、今のところなんの役にも立っていません。平田オリザ氏くらいの知識、思想、ネットワークが必要なのでしょうか。

残念ながら現在の私にできることは、演劇は楽しい、あるいは、人が集まり共になにかを考え作ることは、心を頭を、豊かにするのではないかと訴え続けることだけです。それも今のところ、すでに演劇に興味を持っている目の前の人たちに対してだけ。実に微力、実に狭小です。だけど、なにもしないよりはマシだと考えるしかない。そこから少しでも風が吹いて、いつか大きななにかが動き出しますようにと、やはり願ってやみません。

狭い部屋の中の出来事でしたが、受講者の方々から、私には思いつかないいくつかの閃きやおかしみが生まれていきました。見学にいらしていた方々の客観的な助力も実に心強かった。彼ら彼女等が強かに融合して、わずかずつでも輪を広げていってくだされば、こんな嬉しいことはありません。

引き続きなんらかの形で協力できればいいのですが、どうなんでしょう。衆院選挙の日でした。なんとも不穏な日々が続いております。この先は果たして…。多様な表現が守られ生まれ、求められる社会が少しでも長く続きますように。

ではまた。

2014年12月15日 03:05

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コメント

昨年に引き続きこの度も大変お世話になりました。寛容で丁寧なご指導、心より感謝しております。本当に限られたスペース&人数の前で、もうもったいないことこの上ないですが、その思考、言葉、感性、信条、ご矜持、お心遣いに触れられた受講者たちは本当に幸せもので、得るものは限りなくあったように思います。ありがとうございました。第一線で活躍されている皆様そうでいらっしゃいますが、“人間力”に満ち溢れた皆様との関わりは、何よりの刺激になっております。

所感ご考察もありがたく拝見いたしました。おっしゃるとおり、現状では、劇的な変化は望むべくないのですが、
現役で頑張っている30代~40代の活動者たちの視野が広がりつつあり(他地域とも色々な接点を持ち始め)、10代20代の若い世代たちが“演劇”という選択肢があることに気付き始めたこの一二年、今ある人材、環境から少しでも先へ進められるよう精進してまいりたいと思います。

くしくも、衆院選の日でしたね、最終日は。自身にも問いかけつつ、諸々思う今日この頃ですが、演劇の力が少しでも広がり皆様に寄り添えますよう。

投稿者 アステールプラザ金沢です : 2014年12月17日 17:08

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