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皮膚と心

ようやく気がついたのだが、この新潮文庫版「きりぎりす」には、意図的に、女性が主人公の作品が多く収録されているのではないか。


巻末の解説を覗き見て確認すると、どうやらそうであるようだ。「皮膚と心」も、女性が主人公の物語であった。


太宰さんには申し訳ないが、そろそろ「Do!太宰」に向けてなにをやるのか、どの作品に主に焦点を当てるのか、絞っていかねばならず、そうなった時に今回の「Do!太宰」のコピーは “男たちのブルドッキングヘッドロック ”であるので、必然的に女性が主人公の作品が中心になることは、無いような気がしてきている。


じゃなんで今これを読んでいるのか?ふと疑問がわく瞬間があるが、いや、それでもやはり考えることはあるだろう。粘り強く読むのである。もう、絶対に稽古始めまでに全ての太宰作品を読み終えることは不可能だろう。


女性の皮膚に突如現れる赤い発疹の描写は、個人的には、だぁいぶ前に読んだ筒井康隆の作品辺りを思い出し、とても気持ち悪い。その発疹を発端に、女性があれやこれやと思いを巡らすのだが、ウジウジしていやがるその様子は、結局のとこ太宰さんだ。つまり、なにかと気持ち悪い作品ということだ。


この作品を発表した時期の前後、太宰さんは女性視点の語り口の作品をうんと作るようになる。女性の体を借りることで、表現しやすいなにかがあるのだと思うのだが、どうですか太宰さん。僕はちょっとあります。

2010年3月20日 03:33

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