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「歪み」

 前回までのあらすじ・・・稽古までの時間を持て余したキヤスは、ふとした思いつきで町の東洋医学系の病院を訪れることに。そこで出会ったのは、かたことの日本語を操る中国人医師なのであった。

 さて、問診表を鼻で笑われた私はすっかり中国人先生に反発心を抱き、なので疲れが取れないということをさも重大っぽく、症状を若干重めに先生にぶつけることで、なんか、なんかぶちかましてやれい!と考えたのでした。

 目が重い。くまがとれない。肩がこる。首がこる。頭に鈍い痛みがある。腰がいついっちゃってもおかしくない。あと便秘。強いて言えばむくみ。

 じじいか。と言いたくなるような症状がほとんどですが、ここは先生に「あーた大変ネ、こりゃちゃんと見なくちゃアルよ」と言わせたい私でしたので、実際にはアルよとか言う中国人はいないにしても、それに近いニュアンスにはもってってやれい、と思っていましたので、恥ずかしげもなく日常生活のダメっぽさから来る持ち前の症状の数々をアピールしたのでした。すると、中国人先生の目に、次第に今までとは違う鈍い輝きが現われ始めたのです。

 先生は私の腰に着目しました。

 先生「あなた腰が悪いの?」 キヤス「ええ、もう高校生の頃から」 先生「あそう、ひどい?」 キヤス「ひどい時は立てないですね。今は問題ありませんけど」 先生「今は痛くない?」 キヤス「ええ、今は問題ありません」 先生「どんな痛み?」 キヤス「・・・だから今は痛くないのでアレですけど、痛いときはジクジクと疼くように」 先生「あー、うじゅく」 キヤス「ええ」 先生「いつ頃から?」 キヤス「ですから高校の頃から」 先生「あー」 キヤス「ええ」 先生「あと便秘はよくありませねー」

 ???・・・突然の話題転換です。ファイティングポーズで挑んだ私でしたが、先生のゆるーいフェイント問診にリング中央で立ち往生、な気分でした。鈍い眼光も伊達じゃないぜ!という事なんでしょうか。しかし、ここで遅れをとっては先生ペースで終わって、ちっとも達成感が得られません、もともと達成感を得たかったわけではありませんが。癒されたかったはずなんです。しかしこの時の私は、いつもの、癒しを必要としない戦闘スタイルのキヤスでしたので、欲しかったのは、中国人先生を乗り越えたという達成感だったのです。乗り越えるってなんだって話ですが。そこはニュアンスを、くみ取ってください。

 先生「ちょとそこに立てみて」 キヤス「あ、はい」

 突然の「立ってみろ」に思わずふつーに従ってしまった私なのでした。立て続けに襲い掛かる不意討ち攻勢です。恐るべし中国医師。そしてその後すぐにこの中国医師は私のファイティングポーズに風穴を開けるような、そんな言葉のラッシュをぶち込んできたのでした。

 先生「あー、これはダメだ」 キヤス「・・・え?」 先生「あなたはね、こちゅばんが(骨盤)、歪んでますね」 キヤス「ああ、自分でもなんとなく・・・」 先生「ね。これ左が高くて、右?が低いです」 キヤス「ああ・・・」 先生「これはダメだ」 キヤス「・・・ダメですか?」 先生「ダメダメ」 キヤス「ああ・・・」 先生「わかります?あなたの、肩、首、目、腰、便秘、むくみ、なんですか?ちゅかれ?ね、それしゅべて、こちゅばんの歪みが原因です。こちゅばんは、いろいろなところに影響、するです。中から来るのです。これあなた、歪みをとらないと、なにも治らない。あなた歪んでるですよ。わかります?」

 「ダメだ」「歪んでる」「なにも治らない」

私を打ちのめすには充分でした。昔から気になってはいたんです。私は、例えば肩の高さが右と左で違っていて、だからきっと全体的に右と左がずれていて、それがよくないこともなんとなく感覚的に理解していたのです。しかしこうやって人に面と向かって「ダメだ」と言われると、これほんとダメなんじゃないか、みたいな気分になり、私は完全に中国医師のゆるい言葉遣いと鈍い眼光から逃れられなくなってしまったのでした。

 先生「はい、そこのベッドにうちゅぶせに寝てくださーい」

 先生は畳み掛けてきます。先生「あー、ね、右足が短い」 キヤス「・・・まじすか」 先生「短いよー。歪んでるから」 キヤス「なるほど・・・」 先生「歪んでますよ。ほらせきちゅいも、ここんとこで歪んでる」

 たいしたもんだと思いました。一目見て脊髄の歪みまで見つけてしまうのですから。あと、国民性ですかね?すげえズケズケ言うのは。ガードの上からバンバン叩き込んでくる、チャイニーズファイタードクターです。CFDです。もうわけがわかりません。

 この頃にはすっかり、私は、先生の言葉にすがる平凡な一病人になっていたのでありました。

 つづく。

2004年8月10日 02:33

コメント

こんにちは。姫音です。初めてップス!に書きこむのでわくわくしてます・・・!
今回のお話、すっごく身近に感じてます!
実は私も骨盤が歪んでいて(私の場合は喜安さんと反対なんですけど)現在整体に通っています。中国医師ではありませんが。
やはり、骨のゆがみは色々なところに響きますよね。
私の場合特に肩に来るんです。
早いところ治して健康度をUPしたいですね!

まだまだこのお話続くということで楽しみにしております!

投稿者 姫音 : 2004年8月10日 11:22

今晩和★
歪み…。恐いですねー。私も傍からみて判る程に足の長さが違ったことがありました。小さい時なのであまり覚えてないですが、大変だったような気がします(^∀^;
私は普通の接骨院で治りましたが、喜安さんはCFDの手にかかったワケですよねー。どんな風になったのか続きが気になりますー☆

それでゎ。

投稿者 Kum : 2004年8月11日 00:25

こんにちは。
CFDのあまりのキャラの立ち具合に爆笑しつつ読ませていただきました。
実は笑ってる場合ではない内容なハズなのですが、つい・・・(苦笑)

それにしても”歪み”怖いですね。
普段からはっきりと目にするわけではない体の内部のダメな部分とか、あえて見ないようにしてる所とかあったり・・・人間、悪く無い所がない人はいないとは思いますが、最近肩甲骨から背中にかけてなんだか鈍く痛いので私も行ったら治してもらえるかしら?と思ってしまいました(笑)
どこか”歪んでそう”です。
でも、この先生と闘う勇気はないですね・・・かなり強敵です(笑)

このお話のつづきを楽しみに待っております!!

投稿者 ゆずな : 2004年8月11日 12:55

 初投稿です!
歪み、私もゆがんでいます。
心も体も。
私が通ってるのはカイロプラクティスに属する
整体なんですけど。
なんだか、腰が悪い人は方もこりやすいとか。
喜安さんはいかがでしょうか・・・?

投稿者 松下かな : 2004年8月11日 21:06

 キヤスさん、こんばんは。
CFDとの戦い(?)の続きが気になるユシミノです。

私もきっと歪みまくってるんだろうなぁとは思うのですが、
なかなかいい先生に恵まれず…(私がヘタレで通いきらないのが原因とも言う(汗)。)、
肩こり・腰痛・疲れが取れないなど、体の悩みは尽きません。
私もCFDにお世話になってみたいなと思いました(笑)。
その後、キヤスさんのお体の調子はいかがでしょうか?
調子がよくなっていればいいのですが。。。

では、首を長くして続きをお待ちしております(笑)。

投稿者 yusimino : 2004年8月13日 00:38

姫音さんへ・・・初ップスありがとうございます。整体か。整体にも興味がありますね。いろいろ首を突っ込んでみたい年頃なようです。

Kumさんへ・・・治ったの?!治るんですね。子どもの頃だから?子どもの頃って大事ですよね。子どもの時に決まっちゃう事っていろいろあるんだろうなと思います。とくに体のことって。

ゆずなさんへ・・・笑ってられない状況を笑う事こそ、私が書くべきアレなので、笑ってもらって全然いいのですよ。続き待っててね。

松下さんへw」w」w」心はまずいなあ。心はまずいんじゃないですか?

yusiminoさんへ・・・最近は腰より肩が重いです。やれやれですけど、稽古している間は大丈夫です。不思議なものですね。

投稿者 キヤス : 2004年8月16日 00:12

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