vol.17『ケモノミチ』

日程
2009年7月8日(水)~12日(日)
全7ステージ
会場
ザ・ポケット
作・演出
喜安浩平(ナイロン100℃)
キャスト
西山宏幸 篠原トオル 永井幸子
寺井義貴 小島聰 馬場泰範
山口かほり 藤原よしこ 深澤千有紀
三科喜代 岡山誠 伊藤聡子 喜安浩平

加瀬澤拓未 川上ゆり(はえぎわ)
川村紗也(劇団競泳水着)
島則人(Oi-SCALEマグズサムズ)
竹井亮介(親族代表)
スタッフ
舞台美術:長田佳代子
照明:斎藤真一郎(A.P.S)
音響:水越佳一(モックサウンド)
舞台監督:長谷川ちえ
演出助手:林生弥/林美里
宣伝美術:オカイジン
映像操作:諸田奈美
衣装協力:森川美香
スチール:nana
記録映像:トリックスターフィルム
制作:J-Stage Navi(田中絵美/林拓郎)
ブルドッキングヘッドロックスタッフ
音楽:西山宏幸
映像:篠原トオル
衣裳:山口かほり
イラスト:永井幸子
WEB:久野ひろみ/寺井義貴
協力
KNOCKS,INC. ダックスープ マリエ・エンタープライズ株式会社 イマジネイション 玉井企画 ナイロン100℃ はえぎわ 劇団競泳水着 親族代表 Oi-SCALE マグズサムズ
企画・製作
ブルドッキングヘッドロック

公演内容

アイツは海の底からやってきたという。

目撃した年配の漁師(室田三郎さん)は言う。
『いやもう、そん日は朝から潮の流れが異常でよ。なげえ漁師人生の中でも、はあこりゃ、一度も見た事ねえくらい異常だったのよ。までも船出さねえことにはあんた、おまんま食い上げでろ?(笑)、出したのよ。沖まで。ほったらあんた、地の底っつうか海の底か(笑)、体中を揺すらかすような地響きがしてきてもってよ。あれ、これはまずいことになるんでねえかなー思て、ふいーと港の方を見てもったら、海面が、ズボアアッつって。山みたいに(笑)。ズボアアアつって海面がな。うん。』

さらに別の目撃者(大和田マリさん:女子高生)にも聞いた。
『あれって千葉?わかんない、なんか灰色っぽい地方あんじゃん。工場?がいっぱいある。がぁ、火の海になっててぇ、ちょー燃えてんじゃんつって、煙とかバンバンで、あれこれランドとかシーとか終わってんじゃね?みたいな話してたんだけど、したらほら、見えてきてぇ、も、ちょーデカいのが!も、ちょーデカいの!も、笑うっつか爆笑?デカくて。だってマリ、あんなデッカいの見たことないかんさあ。え?や、下ネタじゃないよ?下ネタじゃないよお!(中略)なんせ爆笑で。すぐに友だちに電話しようと思ったら、マジ電波パンクしてて、ヤベエつって。爆笑で。』

次の目撃者(喜安浩平さん:自由業)はこうだ。
『なんか議事堂が破壊されたって言うところまでは緊急放送で聞いたんですよ。でもそこで電波が途切れたのかな?わかんないですけど、なんせ途切れたからダッシュで近くのデパートの屋上に上って。そしたらもうけっこうな見物人がいたんですけど、見えるんですよ。遠くの方、銀座からあれ、渋谷方面なのかな、なんせ見える範囲がほとんど炎と煙に包まれてて、その先頭にでっかくて、真っ黒な、何本も触手て言うんですかね、そういうのをウネウネさせた、生き物が歩いてくるのが。でビックリするのが、風に乗って焼け焦げた臭いと、その生き物の生ぐさい臭いが、漂ってくるんですよ。ああ、これって現実なんだなって。その臭いを嗅いだ時にね、はっきり思いました。』

アイツは日本の中心部を蹂躙し、為す術の無い人間たちを踏みつぶし、やがて忘れ物でも取りに帰るようにあっさりと海の底へ消えていった。その後の報道では、軍隊が海中のアイツを核爆弾で追撃し、見事撃退したのだというが、その真偽は定かではない。残された人々はただ呆然とするしかなかった。

見渡す限りの瓦礫の山。僕たちの毎日は、いとも簡単に吹き飛ばされたんだ。

喜安浩平