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2005年9月18日

間違ったときに、間違った場所にいる男

rodo-konvini.jpg労働さん(コンビニ)

とある哲学者の、身体に関する本を読む。
その中に武道に関する一説があって、
「道場に入って稽古をする前に、『おれ、何やってんだろう』とか『今から一時間半くらい体動かすのか、めんどくさいな』とかいう事を考えちゃいけない。一切の疑いなしに、ずばっと、『正しい時、正しい場所に自分はいる』と断定してしまう。自分を肯定するところからはじめなければならない」のだそうだ。

なるほど、これは武道だけでなく何事においてもそうかもしれん。とりあえず、根拠は無くとも決めてかからねば何も始まらない。自分の中に迷いがあると芝居だって上手くゆかないのだもの。と納得したののつかの間、それに続く文章にとっても心動かされてしまった。

「推理小説でよく『あんた、悪い時に悪い場所に居合わせたね』という言い方をしますね。主人公はそういうところにたまたま来合わせて事件に巻き込まれちゃうわけですけれど、『間違ったときに、間違った場所にいる男』というのが事件の発端なわけです。」

間違ったときに、間違った場所にいる男。
なんでしょう。とても心惹かれるんですけど。


間違えちゃうというからには、いちおう正しい事に向かっていた訳で。
何に惹かれるかって、私、昔から「こうなってしまった」「仕方がなかった」という現象に弱い。悪い言い方をすれば「こんなはずじゃなかったのに」。あと「~せずにはいられない」、英語で言うと「can’t help ~ing」にも弱い。(←合ってる?)自分の意思ではどうしようもない、という事にとても興味がある。「Can't help falling in love」「愛さずにはいられない」という有名なフレーズがあるけれど、何だかいいじゃん。そもそも誰かを好きになったり、何かに夢中になったりするのって、「いつの間にか」「自分の意思とは関係なく」「好きになってしまう」のだし、「この人を好きになる」って思うまもなく、「この人のこと好きになっちゃった」と気づくのが恋というもの。

「間違ったときに、間違った場所にいた男」だって、ワザと間違った訳でなく、どうしてもそうなってしまったんであって、それはもう、仕方なく、事件に巻き込まれて(もしくは引き起こして)しまうのだろうと思う。

ふと今回の「サクセスの空」を思い返してみる。
「間違ったときに、間違った場所にいる男」というのが、主人公センゴクになんだかとっても似合う気がする。センゴクもそのライバルであるスカイダも、それぞれとても欲しているものがあって、そして求めれば求めるほど欲しい物は遠ざかってしまう。センゴクは金やら名誉やら女やら、わかりやすいサクセスを求めて走り回るけど結局何一つかなわず、死んだあと小説が売れるというなんとも切ない結末を迎えるし、自分の意思とは反対に何だかどんどんビッグになってしまうスカイダが求めていたのは、平凡でささやかな幸せであったのだろうし。

念ずればかなううというのもある意味真実ではあるけれど
欲しがると手に入らず、欲しがらないと向こうからやってくるというのもまた真実。
自分の意思ではどうにもならない事がある。
そのへんのところ、むずかしいわ。

投稿者 sachin : 2005年9月18日 23:59

コメント

Can't help ~ing
(合ってますよ)
私の場合は[舞台を観ずにはいられない]ですね。
エネルギー源です。[観ずには]というより、[やらずには]が合っているのかもしれません。仕事も舞台関係だし。
多分、現場から離れたら後悔すると思うし。

人生において、なんであんな事をしたのだろうと感じる時もありますが。自分の選択肢が間違っているとは考えないようにしてます。でも以前はセンゴクの様に戻りたいと考えてました。何時の間に変わったのかな。
人生は切り開くもの
人生は決められているもの(宿命)
と私の周りは意見がわかれましたが今の私は前者ですね。サチンさんや皆さんはどう考えますか?

なんか話ずれたかも。
またおじゃまします。

投稿者 奈美 : 2005年9月19日 16:13

むむむ~^-^;今日はなかなか粋な内容ですね!!
時間は常に流れているもので、こうやってカキコしている今でさえ、
どんどん過去になっていく…。

~だったら、~ればってさかのぼると永遠なんですよね。
けど、自分が進んでいくモノに対しても同じくらい無数の可能性とかがあって、
それを「間違った時(場所)」とかって判断する人に
よって答えが変っちゃうんじゃないですかねェ。

ちなみにフジマリは人からみて間違った道を例え高速道路を突っ走っていたとしても、
自分にとってのバージンロード!!文句はいわせないのです…。

あれ、私も話題がそれましたね。
すみません。
あ~、さちサンと酒でも交わしつつ朝まで語りたいものですね(妄想)←バカ。

では、また!!

投稿者 フジマリ : 2005年9月20日 00:46

今日は★サチン姉さん!お久しぶりの投稿です!何だか興味深い内容だったので…。
人って常に後悔を重ねて生きてる物だと思うけど、私は後悔した事ありません。自分の好きな言葉に【生まれてからの全ての事は生まれる前に決まっている】って言うのがありまして、ソレをポリシーに生きてるからです。ある種の逃げの思想かもしれないけど、此れで私は今まで17年間好きに自由に有意義に生きてこれたから。それが間違った道だったとしても、その瞬間×2を重ねて今の未来が築きあげられて行く訳で、その瞬間を後悔せずに生きていたら、人生は自分の思い通りになると思うからです。浅はかですかね…?(・_・;)

投稿者 キヨリ : 2005年9月20日 14:12

こんばんは。聖です。

今回はとても難しいお話しですね。何度も読み返してしまいました。

私の場合強く執着するほど手に入らず、案外思ってもいないところから「今思えば、執着していたものよりこっちのほうが大切だったかも」と思えるものがなにしもしてないのに手に入るという、悪い言い方すると行き当たりばったりなことのほうが多いんですよ(-_-;)なので結構楽天的であまりこういうこと考えたことなかったですね。

ただ、人ってその一瞬一瞬でいくつもの可能性を切り捨てながら生きていると思うんです。結局一つの選択しかできないわけですから。だから間違った場所、間違った時間、間違った選択とか考えちゃうともったいないかもしれない。自分のいる時間、場所が必然であり一番正しい選択だったと考えたいです。ちょっと自己中心的かもしれませんけど…。

なんだか、こういう難しい話って文章にするの難しいですね(^^ゞはたしてコメントとして正しいのかわかりませんがこの辺で失礼したいと思います。

投稿者 聖 : 2005年9月21日 01:33

こんばんは^^ またまた沙織理です^^
サクセスの空お疲れ様でした^^
すごく楽しく・・・私にはちょっと難しいお話でした^^;
ずっとファンでいます!!もちろんじゃないですか><

ん~欲しいものを願うと・・・遠くなる。
なるほどです・・・。確かにそうですね・・・
私はスポーツをしているのですが・・・良い成績を残したいがために今までやってたのですが・・・大会の2日前に手術をするほどの怪我をして・・・手術を4回もして・・・それからぼろぼろですからね^^;
練習しても、しても、痛みが伴いますし・・・
でも、ここで自分がどうしたいか・・・にもよりますよね??
諦めるのか・・・。最後までやりぬくか・・・。人生ってこれだから・・・難しい><

なんだか・・・自分の話になってしまいました;;
申し訳ございません;;


あ!!2月の公演も行かせて頂きます^^
私の今住んでいる寮が京王線沿いなので^^
そして今、『亀の気配(仮)』のボランティアスタッフでお手伝いさせて頂こうかなっと思ってます^^
いや・・・お手伝いしたいんですよ^^;

そ、それでは・・・自分ごとばかりで申し訳ございませんでした。
また、書きにきます^^失礼いたしました^^

投稿者 沙織理 : 2005年9月21日 02:19

さちんさんへ

ご無沙汰しております、文子です。
まずは、「サクセスの空」本当にお疲れ様でした!
お手紙の差出人の名前を見て頂いた時、
「あっ!」と気付いて貰えて嬉しかったです。

今回の舞台、最後、本当に涙が止まらなかったです。
なぜあんなに泣いてしまったのかと考えてみると、
やはりさちんさんが書いたように、成功したがっていたセンゴクが、
亡くなってから成功したからなんでしょうね。
本当に切なかったです。

でも、見終わった後、励まされたのは、
センゴクは彼なりに幸せだったんじゃないかな?と思えたからです。
死ぬ前に息子のコントを見られて、友人に見守られて亡くなったわけですし。
そして、あの奥さんが最後あんなに泣いてくれて・・・。

欲しても手に入らない事もあるけれど、
人それぞれ、最期は何かを残し、
トータルで考えると「サクセス」になるんじゃないかな?と思ってます。

きっとコンビニで働いている“労働さん”も何か縁があってそこにいるわけだし、
(7月のイラストの労働さんよりも落ち着いて見えますね。)
買い物をしている“謎の男さん(?)”も物凄く哀愁漂う後ろ姿ですが、
この事も「サクセス」に繋がる1つの出来事じゃないのかな?と思うのです。
やっぱり私はさちんさんのイラスト、色々と想像出来るので大好きです。

それでは、長々とすいません(汗)
また遊びに来ますね☆

投稿者 文子 : 2005年9月22日 19:34

>>>奈美さん
宿命だと思う日もあれば切り開くものよ!と思う日もある。何にも考えない日もある。きっと何も考えてない日のほうが多いなあ。奈美さんが舞台をやらずにはいられないと思うような、いわゆる「衝動」が生きるエネルギーになるなら、それは自分で切り開くものだとも言えるし宿命だとも言えますねえ。きっとどちらも同じ事なんじゃあないかしらん。


>>>フジマリさん
やあやあ。酒でも交わしつつ朝までというのは大好きなんですが、最近体力もたないのよね…。歳ですかね…。
自分にとってのバージンロード。そうね、前向きなのは良い事です。

>>>キヨリさん
こんちわ!後悔した事ないってすごいわ。全然浅はかでないわよ。自分でそういう考え方が決まっていて、しかも自由で有意義だと思うならもう、何も言う事ありません!すばらしいわ!そのまま突っ走れ!私のようにすぐ迷宮入りする者も、とりあえず突っ走ろう!


>>>聖さん
やあやあ、こんばんは。まったくもってそのとおりで。自分のいる場所が必然だと考えるしかない!というのが私の読んだ本の哲学者の考え方でした。ていうか、皆前向きですごいわ。おいくつなの。なぜ皆そんなに自分の考えをはっきりもってるんでしょう。うらやましいわ。


>>>沙織理さん
手術4回って大変でしたね。諦めるのか…最後までやりぬくか…というのは、お芝居とかやってても常について回りますねえ。どちらにせよ賭けですもんね。
ボランティアスタッフですか、ありがとうございます。ほんとね、いろんな人の力を借りて、成り立っています我々。


>>>文子さん
やあ、文子さん。おお。労働さんにふれてくれて嬉しいわ。舞台にしろイラストにしろ、何かしら感想を持ってもらえるというのはほんとに嬉しい。わーい。
サクセスとは?幸せとは?と考えるとき、人それぞれ考え方が違ったり、個人の中でも答えが出なかったりしてよくわかんなくなるけど、とりあえず今あたし、感想もらって幸せ!サクセス!イエーイ。

投稿者 さちん : 2005年9月23日 03:22

皆さんコメントありがとうございます。私個人的な事をいうと、皆さんと同じように「間違った」と自分で思わない生き方をしようと思います。でも何が言いたいかというと、あたし、「間違ってしまった」人や状況に心惹かれてしまうなあ。過ちを犯す方がドラマティックでドキドキするなあ。これ一体どういうことかなあ。ということです。これについては考えると深みにはまりそうなので、またおりをみて。

投稿者 さちん : 2005年9月23日 03:33

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