清水洋介(SpaceNoid)

「私とあの先生」

とある日、私は学校を無断早退した。理由は地元でプロレスの興行があるからだ。プロレスにハマっていた私はどうしても観たかったのだ。
今思えば、学校を休めば良かったのだが、来てしまったものは仕方がない。
校風として遅刻は寛大だが早退には厳しく、校門には暇な先生が見張りをしている。
私は門番を巧みな嘘で簡単に攻略した。バレて怒られるのは明日でいい。勝ち誇った顔で自転車をこぐ私の後ろに猛スピードの車が。担任である。まさか車で追いかけてくるとは思いもしなかった。しかも運悪く、一本道。
それでも私は逃げる。
スピードに耐えかねた自転車が壊れ、カーチェイスはすぐに終わった。
担任は激怒し、学校に戻れと言うが私も諦めない。時間はギリギリで口論している暇はない。
私は叫んだ。
「ハ、ハヤブサが来るんです！」
担任は気持ちも意味もわからないかったと思う。しかし、担任は充血した私の目を見つめ一言。
「行け。」
と、言って戻っていった。
私は無事にプロレスを観ることが出来た。

あの日のハヤブサと先生のおかげで、今の私がいる。