『役に立たないオマエ』出演者名鑑

深澤千有紀

深澤千有紀

「私の高校時代」

 ここ最近、心が弱ると「北の国から」と「白線流し」を交互にみています。北の〜は言うまでも無く例のアレで、「白線流し」とは12年ぐらい前にやっていたドラマです。長野県松本にある高校が舞台の物語で、この年齢特有の悩ましき事々を卒業まで描いたものでした。ちょうどこのドラマが放映されている頃、私はすでに二十代の勤労者であり、弟が受験するのに東京の私の部屋へやってきてこのとっても思春期なドラマを見ていたのを少し意地悪に眺めていたものです。

 高校時代のことで思い出せる出来事。
@1年生。入学直後、5時限目の授業が終わると応援練習というのがあり、それがものすごく怖かった。通った高校が、旧制中学、元男子校といった学校で、校風がバンカラだったのだ。応援歌と校歌をめいっぱい恐ろしい言い方と大声で教わるという新入生の儀式。私は大声を出されることが大嫌い。
A2年生・・・どういうわけだか勉強もろくにせず家が生活に困っているわけでもないのに甲府駅近くのマックで接客することに熱中。校則でバイトは禁止。こともあろうに担任にその現場を見つかる。
B2年生・・・授業中にくしゃみをしてあわてて鼻をすすったら、ものすごい大量で粘度の高い鼻水だったんだろうなと教室中のみんなにわかる大きな音が出て、隣の席の井口という男子が思わず噴出す程に笑われる。
C2、3年生・・・文化祭や体育祭にはほとんど参加せず、その最中はずーっと一部の人と教室でUNO。あまりに負けるので不思議に思っていたら、男子に「制服に手持ちのカードの色が全部映ってるよ」と言われて愕然とする。
D2年生・・・陰でオーラ姫と仇名され人の周りにはおのおののオーラが見えると断言する藤原さんという女子に「ちゆきちゃんのオーラは黄色」といわれ、「それどういうこと?」と問うたら「ひょうきんもの」と言われ結構がっかりする。

 思い出してみてつくづくろくな出来事がありません。三十代の今、「白線流し」がやけに泣けるのです。わたしはきっともう年なのです。彼らの悩ましき事々にのた打ち回る真摯さがうらやましくてしょうがないのです。どうしてもっと真面目に高校生という時代を生きなかったものか・・・。わたしはきっとずーっとふざけて生きているのでしょう。それが高じて芝居をしているのじゃないかと思っています。