- 作・演出
- 喜安浩平 (チラシコメントを読む)
物語は4年前に遡る。
2010年5月、我らがブルドッキングヘッドロックは、三鷹市芸術文化センター星のホールに於いて、『Do!太宰』なる作品を上演した。文字通り“太宰”をモチーフにした演劇だった。しかし、三鷹市芸術文化振興財団さんが毎年催している恒例の、“太宰治作品をモチーフにした演劇”という企画に参加したわけではなかった。
そう、勝手にやらせていただいた。
その年に、真っ当に依頼を受け、“太宰治作品をモチーフにした演劇”を上演された劇団さんにはご迷惑をかけた。なんせ公式の“太宰”は6月。こっちは5月。先にやるだけでも随分だが、それをかなり近い時期にぶつけた。どっかで誰かが我々を公式と勘違いしたかもしれない。向こうの劇団さんが、勘違いした誰かによって、ブルドッキングヘッドロックさん♪、と呼ばれる不条理を味わったかもしれない。いい迷惑だ。そう言えば、今こうして書いているように『Do!太宰』のチラシにも私のコメントを載せたのだが、そこに、その劇団さんのことを書こうとしたら、やんわり止められたこともあった。それはそうだ、得体の知れない集団がたいした理由もなくどんどんと絡んでいくのだ。気味の良いものではなかっただろう。本当に申し訳ありませんでした。しかし、三鷹市芸術文化振興財団の森元氏が、我々を許してくれてしまったのだからしかたがないのではないでしょうか。そうだ、森元氏が許してしまったのだ。我々もどうかしていたが、氏もどうかしていたのだ。
そして今年。正確には去年だが、森元氏から連絡があった。氏は言った。「今度は正式に“太宰”をお願いします(笑)」と。
いよいよどうかしている。4年前、勝手に太宰をやるだけにとどまらず、想定を遥かに越える上演時間を叩き出し、森元氏を劇場の守衛さんの元へ走らせ、頭を下げて回らせたのは我々ではなかったか。普通、こりごりなのではないのか。むしろ楽しそうに、(笑)なニュアンスでもって依頼してくるとは一体どういうことなのか。
私は想像する。これは、氏なりの報復なのではないかと。おまえたち、もう一回やれと言われたら焦るだろと。前回けっこう太宰作品をたくさんぶちこんでいたし、もうネタが無いだろうと。こちとら、あの時の大変さを忘れたわけじゃないんだぞと。困れ!と。…なるほどそう言うことですか。ただでは転ばぬ氏というわけだ。確かにご明察、もはやネタは無い。4年前は、まだまだ何杯も“太宰”をおかわりできる気がしていた私だが、今、冷静に振り返れば、アレはアレですっからかんになるほど、私なりの“太宰”を注ぎ込んだ作品だった。当時、凄まじい勢いで全太宰作品に目を通し、猛烈に一夜漬けした私なりの太宰は、今や、風とともに去りぬで見る影も無しだ。しかしだがしかし、物語を終わらせるわけにはいかないのだ。我々と三鷹市芸術文化振興財団の物語は、4年の歳月を経て、新章へ突入したのだから。
というわけで『太宰』をやる。だがやはり、我々の抗争に巻き込まれた形の太宰氏のことを思うと、大変忍びない。愛されたいし褒められたいし貶されたいし許されたいし、でお馴染みの氏である。人も自分も巻き込んで、のたうち回って見せた自分が、まさかよくわからないおじさんとよくわからない劇団の抗争に巻き込まれ、グッチャグチャにされようとは思いもよらないだろう。
「おいキミ、ネタが無いなら、もう一回全作読み直しなさい。絶賛発売中だよ。」と言いたい氏のはずだ。しかし氏よ、今回は読まない。すでに『HUMAN LOST』をイメージすることを決めている。あなたが“きちがい病院”で綴った、まったくもってワケの分からないあれだ。あなたの錯乱に触れた当時の私は、最後まで目眩がしっぱなしだった。そう、あの目眩を、氏に喰らわせてやろうという企みなのだ。あ、ここで言う氏は森元氏の方の氏だ。つまり、氏の錯乱でもって、ああ、この氏は太宰氏の方だが、その氏の錯乱でもって氏をも錯乱させ、ああこれは森元氏の方だ、氏を錯乱させて、実は太宰でもなんでもないそれを上演していることにも気づかないくらいに錯乱させてしまえば、ネタが無くったってなんとかなるのではないかという錯乱した考えがあるのだよこの私には氏よ!
これはなかなかにしびれるミッションだ。“太宰”がモチーフだという企画を、“太宰”ではないネタでもって駆け抜ける。いつ、笛を鳴らし、レッドカードを持った氏が追いかけてくるかわからない。観客の皆さんだって目を光らせていることだろう。だが恐れてはならない。怯んではならない。負けられない戦いがそこにはある、ような気がしないでもないのだ。あ、追いかけてくる氏とは、両方だ。森元、太宰両氏が笛を吹き吹き追いかけてくる。…まずいな、これはずいぶん面白そうじゃないか。
喜安浩平
- タイムスケジュール
- 6月
6日(金)19:30☆
7日(土)15:00☆◆/19:00☆◆
8日(日)15:00☆
9日(月)休演日
10日(火)19:30
11日(水)15:00☆/19:30
12日(木)19:30
13日(金)19:30
14日(土)15:00/19:00
15日(日)15:00
- ※
- 当日券の販売開始は開演の60分前、
開場は開演の30分前です。 - ◆
- 7日15時の回/19時の回には託児サービスがございます。
- チケット発売日
- 三鷹市芸術文化振興財団友の会会員
=2014年4月24日(木)
一般=2014年4月25日(金)
ブルドッキングヘッドロックのメールマガジン「BHL HEADLINE」購読者を対象に、
先行予約を行います。
2014年4月19日(土)0時~20日(日)24時まで
- チケット料金
(全席自由席・日時指定・整理番号付き) - 前売/3,500円(財団友の会会員 3,000円)
当日/3,800円(財団友の会会員 3,300円)
高校生以下/1,000円(前売・当日共、公演当日要学生証) - ☆早期観劇割引・平日マチネ割引
前売/一般3,200円(財団友の会会員 2,700円)
当日/一般3,500円(財団友の会会員 3,000円)
高校生以下/1,000円(前売・当日共、公演当日要学生証)
- チケット取扱い
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- ●ブルドッキングヘッドロック
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※発売日初日は午前10時から発売を開始し、
窓口販売はございません。
・電話予約 チケットカウンター 0422-47-5122(受付時間10:00~19:00)
・インターネット予約 http://mitaka-art.jp/ticket
※事前登録(無料)が必要となります。
- ●ブルドッキングヘッドロック
- スタッフ
- 舞台美術:長田佳代子
照明:斎藤真一郎(A.P.S)
音響:水越佳一(モックサウンド)
舞台監督:田中翼
演出助手:陶山浩乃
音響操作:照山未奈子
宣伝美術・宣伝写真:高倉大輔(casane)
映像:篠原トオル/猪爪尚紀
衣裳:山口かほり
イラスト:永井幸子
WEB:寺井義貴
制作協力:J-Stage Navi
協力:ダックスープ KNOCKS,INC. 萩本企画 イマジネイション クィーンビー オフィス鹿 キューブ ナイロン100℃ 親族代表 演劇集団キャラメルボックス 劇団鹿殺し
主催:(公財)三鷹市芸術文化振興財団
企画・製作:ブルドッキングヘッドロック
- 三鷹市芸術文化センター・星のホール
- 〒181-0012 東京都三鷹市上連雀6-12-14
TEL:0422-47-5122 - アクセス
JR三鷹駅南口(4)(5)番バスのりばから「八幡前・芸術文化センター」下車すぐ。
または(6)(7)番のりばから「八幡前」下車1分。または徒歩約15分。
※バスでのご来場をオススメします!
7日15時の回/19時の回には
託児サービスがございます。
場所/三鷹市芸術文化センター 2階会議室
対象/1歳~未就学児(集団保育になります)
料金/500円(おやつ代など・公演当日払い)
定員/10名(要予約)
受付締切/5月24日(土)
お問合せ/三鷹市芸術文化センター 0422-47-5122