スパイシージュースHOT
サクセスの空チラシ   どうしたというのだろう。その男の人生はすっかり狂いきっていた。
 いい年して女に手を出したが、ものの見事に金だけ取られて裏切られ、知人に励まされて始めてみた健康器具の販売業も、使用した客に火傷や骨折が相次いで大失敗。ついでに知人は金だけ持って失踪。突然姿をくらました妻はなぜか毎晩意味不明ないたずら電話をかけてきて頭を悩ませるし、息子は「これからはお笑いだお笑いだ」といって壁に向かって一人ギャグを叫ぶ。日替わりで体のいろんなところに原因不明の痛みが走り、ちょっとした豪雨で、周りは無事だったのに自分の家だけが流され、おかげで夜もおちおち寝られず、商店街をあてもなく歩いてたら見知らぬ通りすがりの男に激しく怒鳴られ、出会う犬出会う犬激しく吼えるし、気晴らしに海に出かけると激しく雨に降られ、軽く遭難し、寝泊りしていた公園が寝て起きたらバザー会場になってて激しく追い出され、気晴らしに山に出かけると激しく雨に降られ、で軽く遭難し、交差点で車に跳ねられそうになってうまくよけたと思ったら運転してたのが妻だし、なんか女子高生に笑われるし、なんか女子高生に怒られるし、たまに泣かれたり殴られたりするし、気がつくといろんな人に笑われてるし、で死にたいと思ってみるけどなかなかどうして死ねないもんだし。まさにどん底。

「あいつのせいだ」

 かつて、俗に言う青春的な時代、男には友人と呼べる男達がいた。その中に一人、なぜか全てがうまくいくように思える男がいて、ていうか実際なんでもうまくいき、案の定、現在その友人はなんか全てがうまくいっていて、たいそう豊かな暮らしをしているのだという。落ちてる新聞で読んで知った。
 どん底な男は考えた。あの時、あの男がうまくいき、自分がうまくいかなかったあの時から、全ての歯車が狂い始めたのだと。全部あいつに持ってかれたのだと。あんのやろう!と。
 やがてどん底男の情念は、溜まりに溜まって沼になり、池になって湖になって、やがて時を動かす大河を作りだす。懐かしいあの時代、全てが動き出し、全てがうまくいくはずだったあの時代へと、全てをひっくり返す逆流となって物語は流れ始めるのだった・・・。
 うまくいく男とうまくいかない男、そこそこにやってる男にいい女やな女、あらゆる人々のあらゆる思いが時間を越えて錯綜し、ひっくり返ったり返らなかったりしながら「あるべきところ」へと辿り着く騒乱絵巻。成功と失敗と、あとなんか悲喜こもごもがもっちゃり詰まったブル流サクセスストーリーが、秋晴れの空に打ちあがってやがてはキラキラまばゆいお星様になるかならないか知りませんけど、なんせまずは観に来てください。

喜安サクセス浩平


作・演出:   喜安浩平(ナイロン100℃)

キャスト:   篠原トオル 西山宏幸 小島聰 寺井義貴 馬場泰範 猪爪尚紀
永井幸子 山口かほり 関家麻紀子 吉田真紀 深澤千有紀
長谷政信/工藤史子(チーターダッシュボンバーショット)
井本洋平 酒井啓全 桃山由希絵 立本恭子 喜安浩平

スタッフ:   舞台監督: 谷澤拓巳
照明: 斎藤真一郎(A.P.S)
音響: 水越佳一(モックサウンド)
舞台美術: 長田佳代子
宣伝美術: オカイジン
舞台写真: 石澤知絵子

映像: 篠原トオル(モジャーフィルム)・猪爪尚紀
音楽: 西山宏幸
衣裳: 山口かほり
衣裳協力: 森川美香・戸澤理恵子・伊藤真弓
制作: 瀬口育世

協力:   ナイロン100℃ ダックスープ チーターダッシュボンバーショット

協賛:   エスエス製薬株式会社

主催:   (財)三鷹市芸術文化振興財団

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