『とける』出演者名鑑

黒木絵美花

黒木絵美花

「私とあの先生」

これはちょっとヒドい話かもしれませんが…

私が高校3年の時に担任だった先生は、英語の先生でした。明らかに生粋の日本人で、日常では9割方日本語で生活しているように見受けられたのですが、片言の日本語を話しておられました。英語訛りの山形弁でした。

卒業してから数年後の事です。
私は旅行で独りロンドンへ行きました。
ミュージカル「レ・ミゼラブル」の休憩中、エポニーヌ役の女の子が凄い!凄い!と思って、CDはあるかなと思い、お土産屋さんに向かいました。しかし、その子が歌ったCDというのは売っていない事を知り、その代わりにもなり得ないキーホルダーを買うか買うまいか悩んでいると、後ろにいた日本人が、なんとなくずっとこちらを見ているような気がしました。
振り返ると目が合い、そのまま去ろうと思ったのですが、何か見覚えがある気がしてもう一度見ると、やはり目が合いました。

あ!
先生!

突然すぎて、「先生だ」という事だけしか思い出せませんでした。
いつの先生か、そして何先生か、思い出せず、失礼の無きよう、「先生」と呼ぶことにしました。(すみません)

「先生!お久しぶりです!」
「いやー。これはビックリ。ミス・エミカクロキではないか。」
「あ。えーっと、先生は今どこにいらっしゃるんですか?」
「まだ、北高で教エテマスヨ〜」

ほんのり誘導尋問的な会話の流れで辛うじて先生の面影を思い出しながら、思いがけぬ場所での再会を二人、喜び合いました。


今思えば、片言という時点で、思い出せる特徴としては十分だったはずなのに。一方、先生は毎年、何百人もの卒業生を送り出しているだろうにも関わらずちゃんと覚えていて下さったというのに…。
何とも酷い話だなと反省しました。

当時の同級生に確認すると、その先生は、「鈴吉(スズキチ)」という裏の愛称で親しまれていたシュワルツェネッガー似の日本人英語教師そして高校3年の時の担任の先生、鈴木吉?先生だったことをはっきりと思い出しました。


鈴木先生!ごめんなさい。

もう二度と忘れません。