4月30日 『遮光婦人』終幕のごあいさつ

ブルドッキングヘッドロック Extra number
コンストラクション ダイアグラム・オーバー ザ ディメンション
~108の、建設と解体を繰り返す未遂の構想について~

アフターイベントをもって終幕しました。ご来場のみなさま、
応援してくださったみなさま、ありがとうございました!!!
『その38 遮光婦人』に出演で参加した劇団員は、
はしいくみ、津留崎夏子、藤原よしこ、猪爪尚紀、岡山誠、竹内健史、の6人でした。
ゲストに和田瑠子さん、河西裕介さんをお迎えしました。
この8人と総監督・喜安氏とで、舞台でお会いできたことを、とっても嬉しく思います。
関わってくださった方々への感謝とともに、
劇団員からのメッセージをここでご紹介させてください。
またお会いできる日まで!

【はしいくみ】
「遮光婦人」30代の大冒険でした。

今公演、略して「コンスト」で、最初に各チームのテーマカラーを決めました。
私達【その38】はチラシにあるように桜のイメージがあったので桜色にすんなり決まりました。でもHP画面で見ると薄すぎるからもう少し濃い色に、って事になりそこから今の色に決まるまでやりとりが沢山あって「こんなことがずっと続くのか…」とゾッとしたのを覚えています。
幾多の会議を経て、沢山の夢や希望が現れては弾け、現れては弾けました。
私達の意見がまとまらないことについて色々言われましたが、私は「お互いの意見を尊重しているからゆえに」決まらなかったのだと思います。今までいろんな困難を乗り越えてきた30代のメンバー。自分には無い素敵なものをみんな持っているんです。だから「ん?」と思っても、一旦は理解しようと、その糸口を見つけてみようと思うんです。せっかく考えてくれたアイデアを即座に退けることなんて出来ません。でも最後に何を信じるかは自分の中にあるから時間がかかりましたし、何が正解なのか考える毎日でした。大変だったけど、そこで得た気づきは財産です。

脚本について、自分が関わる公演なら絶対面白い作品にしたいと思い、挑戦しました。私のような素人が何やってるんだろう、と我に返ったらおしまいです。「謙虚さ」「謙遜」「恥を知れ」「嫌われたくない」「反省」とかそう言う概念を自分の中から一掃し、毎日自己暗示をかけて稽古場へ向かいました。あー恐ろしい…ですが、「ハッタリも必要」ってやつを初めて実践できた気がします。新鮮でした。

この稽古期間中は劇団の事も沢山考えました。去っていった先輩達=ブルを支えてきてくれた方々のことも改めて。一本の川を思い描いたりしました。3チームに分かれた公演だったからこんなに考えたのかもしれません。私達はどこに流れ着くのか、可能な限り見届けようと思います。

その劇団を支える30代メンバー。
猪爪さんはこのチームだけでなくブルを支えるいなくてはならない存在です。
意見が合わなすぎて辞退しようかと思ったこともあったけど、最後までちゃんと向き合ってくれました。諦めそうになったときも猪爪さんがいたから前を向けました。尊敬を通り越して「どうかしてるぜ」な先輩です(賞賛)。きっとお互いそう思っていると思います…。
つるぽんこと夏子さんは迷っているときにいつも後押ししてくれたし、彼女のおかげで見落としていたものに気づけたこともありました。今までのボツ台本をすごく大切で捨てられないよって言ってくれて、一緒に落涙したこともありました。
よしこさんはいつも客観的な意見だったのに、クライマックスを「相撲」とか言い出して何故かみんなの心をつかんでしまった、ということがありました。今となっては良い思い出です。
岡山さんはいつもの岡山さんでした。
竹内君は我々に新鮮な風を吹き込んでくれました。
ゲストの和田さん演じる「さち」を私はとても好きでした。もっといっぱい書きたかった。
河西さん演じる「内場くん」も私は大好きでつい変なこといっぱい書いてしまいました。
お二人とも、このような特殊な企画に前向きに取り組んでいただき感謝です。演じてくれてとてもうれしかった。
喜安さんにはいつも後回しにされてやきもきしました。でも稽古終盤、修正を粘って粘って修正していくうち…気づいたら『遮光婦人』だ!」って思えたとき、私がうまく表現できなかったところを「これだ!」という台詞を書いてきてくださったとき、感動し、興奮しました。終盤の稽古はすごかった。

最後のシーンで桜を降らせたいとずっとみんなで話していたのですが、最終的にカットされてしまいとても残念だったけど、お客さんから「風と一緒に桜の花びらが舞い込んでくるような雰囲気」であったという感想を頂き、実際に降らすことは出来なかったけれど、私達、お客さんに見せることが出来たんだね…!感無量です。

演劇ってステキですね。他の二作品を見てもそう思えたから、この企画は大きな意味があったのだと思います。

次はどんな景色をお見せできるのか、「コンスト」終わって大解体、のその先は…
今後ともブルドッキングヘッドロックをどうぞよろしくお願いいたします!!
ありがとうございました!!

↑チラシ撮影。

↑タイトル決め。

【津留崎夏子】
ブルドッキングヘッドロックには30代のメンバー複数いますが、入った時期も経歴も様々です。
12月28日、6人のメンバーが集まって、喜安さんから根掘り葉掘り質問を受けたのが
『その38  遮光婦人』の始まりでした。

誰かが意見を言うと、「そうだねえ」と頷くものの、話はそこでふんわり終了。
また新たな意見が出るけどまたすぐ終了。会議の最初の頃はそんなことが続きました。
喜安さんはその様子を見て「お互い誰の意見も良いと思ってないんだね。」と言いました。
そんなつもりはなかったので驚いたんですけど、今思えばズバリだったんだと思います。
言い換えれば我が強いのかもしれません。し、尊重し合っていたのかもしれません。

会議を重ねるうち、賛成も反対も代案も新案も、意見がその場で交わされるようになりました。
「一旦は飲み込んだけど、やっぱり納得いかない。」という意見が飛び出すことも多く、
互いに「ちょっとお!」なんて荒くなる場面もありました。
でも、簡単に納得いかない私達にしか生み出せない作品が、幾度もの解体を経て作られていきました。
猪爪さんといくみちゃんが書いてくれた台本は、宝物です。

同じ時期に頭を抱えていたであろう他チームの人達、そして喜安総監督、
制作チームも一丸となって、ブルドッキングヘッドロックでありました。
劇団でした。そしてこれからも。

お客さまに会うことができて、上演できて、本当に本当によかったです。
ありがとうございました。

↑何一つ決まらなかった会議。

↑翌日、進展す。初めてのてっぺん越え。

【藤原よしこ】
終わりました、コンスト。
観に来て下さった皆様、本当にありがとうございました。
昨年12/28の第一回目の会議からおよそ4ヵ月(一年の1/3!)
七転八倒しながら作り上げ皆様に観て頂いた「遮光婦人」。
途中ハード過ぎてヘルペスもできました。深夜まで道端で会議(その最中喜安さんがキレました)や
チラシ撮影をした事もありました。遠くまで団地の取材に行きました。
みんなの頭がおかしくなったのかテーブル上に担々麺と餃子が溢れた日もありました
(深澤さんに「いい加減にしろ」と言われました)。
ファミレスでの会議の会計ではいつも何か問題が起きました
(長時間居すぎて追加注文などが上手く処理されず、等)。
アラフォーの私達が一体何をやってるんだろう…?と思う事もなくはありませんでしたが
作る事に夢中で気にする暇なんてありませんでした。
作品自体が我が子のようだし、その製作過程は38チームの個性的なメンバーによって
非常にドラマチックでドキュメンタリー(作中にもドキュメンタリー作家がいる!)
として大変おもしろかったと自画自賛できます。
登場人物達も自分達で作り上げたキャラクターであるが故に私達の「今」が反映されていて、
「自分」なのか「役」なのか、ほんと半ドキュメンタリーのような作品でした。
個人的には13年前に劇団で作った映画「ドラゴン・シティ」製作中にガチ喧嘩をし、
その後作品中でもほとんど絡む事のなかった猪爪君と夫婦役をやれた事。嬉しかったです。
劇団で作品を作る、という喜びを再認識させてくれたコンスト。
得られた物を自己満足で終わらせずまた新たな作品を発表する事で
皆様に還元していけるよう精進して参りますので今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
ありがとうございました!

↑公開脚本開発会議前日。一番混戦した会議。
【猪爪尚紀】
猪爪尚紀です。
建設と解体を繰り返し濃密な数カ月を過ごしました。

せっかくなので、今の心境といいますか思ったことを今のうちに猪爪主観でご報告します。

脚本作りはどこか夢物語を文字にするものだとばかり思っていました。
昔よくやってませんでしたか?
寝っ転がって、「明日世界が滅びるとしたら何しようか」とか、
「100万円落ちてたら何に使おうか」とか。
そんな作り話の延長だと思って、正直なめていました・・・
だからでしょうかね、完全にやられてしまいました。なめていた報いです。
脚本やプロットにはちゃんとお客様に見てもらうためのロジックがあり、
奇抜な発想も必要なのですが、それよりもちゃんとした組み立てや、
整合性という言葉がやたら飛び交っていたのを思い出します。

「こんなのおもしろいかなぁ」なんて思っていたことが、
実はどうやってもそこに行き着かなくなったり、
どうしてそっちに行ってしまうの?なんて具合にストーリーが暴走したり。

赤ちゃんを抱っこするみたいに、大事にゆっくり見ていないとダメなんですね。
気づくととても成長していて、自分でもびっくりなんてことも。

実際に皆様の前で作品を披露できた時は、家のお風呂で一人で泣いてしまったものです。
これは内緒ですよ。

今の心境はというと、「またやりたい」が8割、
「こんな目に合うくらいならやらない」が1割、「どちらでも良い」が1割です。

現在、コメントを書きながらも映像の編集作業の真っ最中で
映像の建設と解体を繰り返しながら徹夜明けです。
全く違う脳みそを使っている気分です。
すごく頭がとっ散らかっています。
今度は自分たちで自主公演をうってみるのも楽しそうですし、
映画を撮ってみるなんてのもありです。
キャンプも行きたいですし、それこそドライブや、あっ鳥人間なんかもいいと思います。

なんせ、僕は毎日なんかを作っていたいのです。
そうこうしていると次回の公演の準備も始まります。

まとめますと、今回の公演で思ったことは「大変なことは、あとになって楽しい」です。

なんかこう言ってしまうと小学生の宿題みたいな感想になってしまいましたが、
実際にこういうことの連続なのでしょう。

早く次の公演がやりたい。
今はそんな気分です。

↑公開脚本開発会議。
【岡山誠】
「コンスト」も終わり“その38”「遮光婦人」も終演しました。
楽しんでいただけましたでしょうか。
アフターイベント時にも話しましたが全然終わった気がしません。

「このチームはまとまらない」
と、いろんな人からも言われましたし実際ぶつかったり
意思疎通がうまくいかないこともあったりでしたが、
わかりあうことは難しくてもわかりあおうと努力することはできたのかもしれません。
きれいに言い過ぎですかね。
わかんないですけど。

ちょっと前に「人生フルーツ」っていう老夫婦を描いたドキュメンタリーを観まして。
その中でお互い向き合うことは大変だけど同じ方向を向くことはできる、
みたいなこと言ってまして。
夫婦についてだけじゃなくていろんなことに繋がるあれだなと思ったんですが
僕ら“その38”チームもそうなっていたとしたらうれしいんですがどうだったんでしょう。

脚本書いた猪爪さんいくみさんには頭があがりません。

喜安さんすげーな、と改めて思ったり。

ゲストのお二方が素敵でまた出てほしいなと思いました。

自分の読解力の無さに絶望しました。

他チームのことが気になりました。

僕もいつか結婚できるのかなあ、と思いました。
多分できないと思います。

コンストの余韻もありますが今年のブルはもう一本あります。
既にいろいろと動き始めています。
今回の公演を経てどうなっていくのかご期待くださいませ。

↑公開通し稽古・下見の前日。

↑下見より。2日目の終了後に後半の大解体がおこなわれた。

【竹内健史】
長いようであっという間に終わってしまったコンスト。
色々タイトで難しい企画だったのに寂しい気持ちになっている自分が不思議です。

僕にとっては収穫がたくさんあった公演でした。
何より同世代のブルメンバーと密に時間を過ごし、ものづくりを出来たことです。
今まであんまり芝居でも関わっていなかったのですが、
今回で少しは互いのことが見えたのかなと勝手に思ってます。
このチームの特徴はどのチームより諦めが悪く(笑)
どんなことも真っ向勝負していく人しかいない。です。
人としても人間くさく、人柄があり頼もしい人たちなので
今後も沢山盗んでいこうと思ってます。
今は、またコンストやりたいかと聞かれたらもういいです。とか言いそうですが、
この企画ごと応援して下さったお客様、大変な企画に協力頂いたスタッフの方々、
そしてギリギリまで38チームを見放すこと無く放牧して
僕らを育ててくれた喜安総監督にお礼を言いたいです。

本当にありがとうございました!

↑稽古最終日。

↑千穐楽前日。マンハッタン団地にまた会えますように!

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ブルドッキングヘッドロック Extra number

コンストラクション ダイアグラム・オーバー ザ ディメンション
~108の、建設と解体を繰り返す未遂の構想について~

2017年4月16日(日)~22日(土)
全12ステージ
@下北沢 小劇場B1