深澤千有紀の!公開脚本開発会議レポ!

いよいよ始まります。すでに記録係の私は着席し、お客様が周囲にいらっしゃる中でパソコンを起ち上げどこを見るでもなく、ツンと気取っておりました。「その25」「その41」の出演者、そして議長の喜安さんが入場してくるはずなのですが…なっかなか来ない。ツンと気取っているのに、お客様からは手を振っていただいたり微笑みかけられたり、アレ?わたし気取れてないのかしら?なんて思ってるところに25の若者たち登場。彼らの姿を見るなり「お疲れ様です」と声をかけます。今日のイベントで唯一決まっていた言葉だからです。「お疲れ様です」がひとしきり終わり、全員が着席したころ議長喜安さん登場。

【その41】
さすがに年の功というべきか、実際に永井、喜安、篠原3人の学生時代からの仲だからなのか、大変落ち着いてます。現時点でのあらすじ、登場人物とその配役、3幕ものであること等を説明。一場二場はロードムービーをやりたい、一方で緻密な会話劇もやりたい、なのでロッジへ行くことにして、ロッジの男に森戸さんを配役しました、とのこと。そして今日の議題は「後半30分におこること」。あらすじ説明のところで私は篠原が演じるはずの「子犬を拾う男」が、産廃業者でなんと不法投棄をしている、なのに子犬は拾ってきてしまう、というところにグッときているのでした。チラシの篠原の写真を見て、拾うね、この男なら子犬は絶対拾うわ、と思います。一方、ロッジの男が生態系を元に戻す的な尽力しているとしたら?不法投棄をしている「子犬を拾う男」とは対立構造になる。ふうん確かに何か起こりそう。そして手元の【ロッジにて/後半30分に起きるであろう出来事アイデア集】に目を落とす。わ!すごい47もある。

私が気に入ったのはアイデア集36「最近テレビを観ていないというロッジの男。流行りのドラマの話になる。そういえば○○(芸能人)に似てると言われるんだと言うロッジの男に、そういえば、似てるかもしれませんねと大人の対応で返す面々」。これぜひ台本にならないかなあ。どうでもいい会話だけど面白いと思うのよ。私なら劇場で笑うわ。

子犬を拾った男とその友人、動物好きな女の3人は、車の牽引をしてもらうためにセダンの男とロッジの男についてゆく、でもなぜロッジにとどまるの?女はどういう設定?ここまででタイムアップ!夜の回までに
「女はいったい何者か」「なぜロッジにとどまるのか」を話し合うことに。

【その25】
くぅーっっ!しびれるような緊張感が伝わってきます。若者たちよ緊張しておまんなあ。議題「『雪ロード埋没』、クライマックスを考える」。資料1には登場人物一人一人の性格が当人を含めて8案、資料2にはこの物語がいつの出来事なのかを8人分の案。資料に追いつく前に発表が始まってしまった。記録係としてはアウトです。とりあえず、聞き取りながらどんどんブラインドタッチ。資料1と2から好きにいくつものワードを選び取りクライマックスに至るエピソードを語る方式だとわかったのは最初の葛堂が話し始めて結構経ってからでした。このペースで話していては全員話し終わる頃にはタイムアップになってしまいます。あと、話し方が簡潔でないので不肖深澤まったくもってメモ取れてません。山田二見と説明が終わる頃、議長喜安さんついに立ち上がりました「あのさ、クライマックス以外のところは要らねえんだ」。まったくもって深澤も同じことを思っておりましたので、おおよく言って下さった、と思うておりました。その後はまあまあサクサク。クライマックス案が簡潔に発表されました。喜安さんの「プレゼンも演技も説明されないままの方が、何これ?って興味持たれるんだよ」との言葉。深澤、深く納得。そしてわが身を顧みます。演技やりすぎることあるので、私。

でだ。いくつも案が出た中で私が観客だったとして何が見たいかなーというところだと、「世界がつながる系」の話かね。思春期特有のアイデンティティもまだ確立されてない者同士の互いをどう見ているかまたどう見たいか、自己の世界とのズレ。それが8通りある中である瞬間に8人が世界は一つだと思える瞬間のシーンみたいなあ、私。というわけでタイムアップ。次の課題は「それぞれのキャラクターの結論付をしていく作業が必要」ということに相成りました。

【その38】
このチームは他の2チームに比べて我が強い、かと思えば、互いを思いあうという優しい面も強めにあるため、まあなんせ喋ります。会議聞きながらパソコン打つのが一番難しいチームです。さて。現時点でのあらすじ。
「ドキュメンタリー募集貼り紙を目にしたある夫婦が、他の夫婦を誘って作品を撮り始め、互いの本音や秘密があらわになり、歪みが生じる話」。そして今日の議題は「どんなドキュメンタリーにするのか」「なせ歪んでしまうのか」「結果どうなるのか」。
さて。どんなドキュメンタリーなら良いと思うか、に反射で挙手をし「子だくさんもの」と勢いよく発言したよしこさん。私は声を出して笑ってしまいました。夫婦ものじゃ!子供どうやって出すんじゃい!
そもそも誰によってドキュメンタリー応募の貼り紙が出されたのか?貼り紙(手紙といってもいい)が出された意図によって物語の主軸は主催者側になるよと演出の喜安さん。みんな「主軸は夫婦でありたい」とのこと。

ね、そもそもみんなの思う団地ってどういうの?と喜安さんからの問いにしばし沈黙。団地に住んだことある人?深澤も挙手。深澤は4歳から9歳まで社宅に住んでました。小さい規模の団地です。猪爪が思っている団地は光が丘団地のようなマンモス団地らしい。そして、他の人は団地には住んだことがないらしい。これは大変です。喜安さん「マンモス団地のようなものをイメージしてしまうとある種のノスタルジー感が漂うよ」。
うーん。困りました。同じ団地をイメージできていないのでは、どんな手紙がきて、どうして夫婦達がそのドキュメンタリー作品に応募するのかがわかりません。タイムアップ!私は「残り5分です」と議長に伝えます。最後にはしが言った「団地の建て替わり、のためにその変遷を残すためにドキュメンタリーに残すというのはロマンがあると思います」この言葉にはなんだかキュンとなりました。

【再びの41】
昼の回で議題に上がった「女はいったい何者か」「なぜロッジにとどまるのか」。
深澤がグッときたのはロッジにとどまる理由として「ラジオ『アニマルパラダイス』のリスナーとしてロッジの男と女はつながっていた。例えば、ロッジの男がアニマルパラダイスの録音を全部持っていた」です。アニマルパラダイスは聴いてみたいじゃない?どんな女なのかは難しい。喜安「女の単独な事情じゃなくて、解決しづらい何かを抱えていた方がいい。女は動物好きである、というキャラクター付があるのだから、それを生かす有機的な理由が欲しい」に深澤納得。深澤が一番知りたいのはセダンの男の職業です。なぜ高級セダンに乗れるのか、ロッジの男とはどういう知り合いなのか。会議に出てきた「例えば、ロッジの男は生態系の回復を望んではいるくせに、ちょっと売っちゃいけない動物を育てていて、それでロッジは動物コレクション的なことになっている」。このような悪事に絡んでいるとしたら高級セダンに乗っているのも不思議じゃないかもしれない。あ、でも41の3人はサスペンス要素よりハートウォーミングな話にしたいと、前に言っていたような。タイムアップ。

どうなるのでしょうね。私も劇団員なんですけど、ちょっと他人事なので私は心底本番を楽しみにしています。
2月19日は喜安さんのお誕生日。劇団員からちょっとしたプレゼントを渡しました。そうしましたら、野球チームの入団記者会見みたいになってしまい、みなで困惑のち爆笑。よく似合います。

(文:深澤千有紀)

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コンストラクション ダイアグラム・オーバー ザ ディメンション
~108の、建設と解体を繰り返す未遂の構想について~

2017年4月16日(日)~22日(土)
全12ステージ
@下北沢 小劇場B1