スパイシージュースHOT
スパイシージュースHOTチラシ   溺れる快感。そっと窒息(ハート)
そこではいつだって静かに時が刻まれている。南方の青々とした海に浮かぶ小さな島と、その頂にそびえる白い天文台のことだ。
丸型宇宙ステーション「ブルークス01」は、俗に言う「第3次宇宙ステーションブーム」の勢いに乗り、文字通り勢いよく打ち上げられ、その後すぐに勢いよく始まった宇宙ステーションブーム批判とともに人々の記憶から消え去っていった、そう、いわゆる時代の落とし子である。そして白い天文台は、そんなブルークス01を地上から監視するという目的で建設された研究施設で、日々、月の周囲を漂い続けるブルークス01を監視し続ける、そう、これもいわゆる時代の落とし子なのである。そう、これらはいわゆる、歴史上、時代の落とし子時代と言われた時代の落とし子的産物なのだ。
島の住民から「白い天文台」と呼ばれている白い天文台には、常に何人かの研究員が常駐している。彼らは毎日入れかわり立ちかわり、競い合うように空を眺めては監視に明け暮れている。しかし残念なことに昼間は明るくてなにも見えないので、仕事は夜に限られており、だから昼間は競い合うように掃除や洗濯、食事に明け暮れている。さらに、ブームの衰退とともに忘れ去られた「ブルークス01」は、今では特になにをするでもなく月の回りを回っているだけなので、監視してみたところでとくになにかが起きるわけでもなく、だから彼らいわく、「監視してる時が一番きついです」だそうで、それでも彼らが監視をやめないのは、監視をやめたら夜も掃除や洗濯、食事に明け暮れなければならないからで、そんなもん、そんなに服とか汚れないし、食事だって一日三回取れば十分だという話だし、だから監視をやめるわけにはいかず、さらに監視番を競い合うことで、ずいぶん時間をやり過ごすことができると知っているから、なにがなんでも彼らは空を眺めあうのだった。
そんな天文台は今、海面が上昇したことで数キロ先にあったはずの海が眼下に迫り、ひび割れ、錆びつき、得体の知れない植物に覆われて、いつかは飲み込まれるであろう時を静かに待っている。研究員の間には、政府の方で監視業務の撤廃が議論されている、という噂が流れている。ある者はブルークスから通信があったとうそぶくし、ある者は勝手に別の研究に励むし、ある者は言動がいちいちおかしくなっていくし。……彼らは静かに溺れ始めている。
静かに時を刻む場所で、静かにもがき漂う人々。彼らを観察するうちに、私も静かに興奮してきて、息をするのも忘れて、なんかもう、窒息寸前です。

この息苦しさが、たまらなく快感なのです。

甘かったり辛かったり酸っぱかったり 喜安浩平


作・演出:   喜安浩平(ナイロン100℃)

キャスト:   篠原トオル 西山宏幸 小島聰 寺井義貴 猪爪尚紀
永井幸子 山口かほり 野原千鶴 深澤千有紀
長谷政信(チーターダッシュボンバーショット) 喜安浩平

スタッフ:   舞台監督: 長谷川ちえ・宇野圭一+至福団
照明: 斎藤真一郎(A.P.S)
音響: 水越佳一(モックサウンド)
宣伝美術: オカイジン
写真: 石澤知絵子
舞台美術: 喜安浩平
音楽: 西山宏幸
映像: 篠原トオル(モジャーフィルム)・猪爪尚紀
衣裳: 山口かほり
制作協力: オオカドカズサ
制作: 瀬口育世

協力:   ナイロン100℃ ダックスープ チーターダッシュボンバーショット

日程:   2005/5/21(土)〜29(日)

14:00
19:00
19:30
21日(土)
22日(日)
23日(月)
24日(火)
25日(水)
26日(木)
27日(金)
28日(土)
29日(日)
◎プレビュー公演 5月20日(金)19:30〜

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