亀の気配
亀の気配
亀の気配チラシ
溺れる快感。そっと窒息(ハート)
 『亀の気配』には2つの物語が存在する。それはつまり、ある「男」が友人と「女」の噂話をしている頃、別の場所では、その「女」が別の友人とその「男」の噂話をしているといった具合で、男は女が自分の噂話をしているとは知らずに下品な笑い声を飛ばしまくるし、女は男が自分の噂話で盛り上がっているとは知らずに罵詈雑言を並べ立てたりする。しかしそれらは互いに見えないところで起きていることなので、残念ながらあなたは二つの物語のうちどちらか一方しか目撃することができない。
 男は女が今なにをしているのかを知らず、女は男が今なにを思っているのかを知らず、ついでにあなたもどちらか一方の出来事しか知らず、それどころか男はその女について知らないことだらけで、でまた女もその男についてよくわからないことだらけで、さらに言うなら二人は一つ屋根の下で暮らす男女だったりするからことはやっかいで、互いに知ろうとすればするほどわからないことは増え続け、よくわからない男もしくは女は、よくわからない女もしくは男に振り回されて、よくわからなくなって、よくわからなくなるにつれてよくわからなって、よくわからなくなる有様にあなたは混乱と興奮を覚えてよくわからなくなる有様だ。
 ただしかし、よくわからない男とよくわからない女、それぞれの物語は、離れたり交わったりしながらも、やがて同じ結末へと辿り着くだろう。私が期待するのは、その時あなたの見る景色が、辿った道のりによってずいぶん違ったものに見えるのではないかということなのである。

PS.両方観てくださってもいいのである。喜安浩平


 狗森才子(クモリ・サイコ/26才)は東京で同棲中の男を連れ、自分の故郷に帰ることになった。親戚のおじさんが、職を失った男に仕事を紹介してくれるというからだ。男は東京で、慎ましくサラリーマン生活を送っていたが、突如会社から解雇を言い渡されたのだ。男と才子は、大学時代の映画サークルで知り合い、才子主演の自主ホラー映画「死のびよる」の監督を務めるうちに互いに惹かれあい、やがて一緒に暮らすようになった。でももうカメラを回すことはない。撮り貯めたテープの所在も不明。才子は目の前をさまよう愚鈍な無職の男にため息をつかざるをえないが、でも今は、親戚や旧友からかかってくる電話の対応で手一杯なのであった……。  枯木田文夫(カレキダ・フミオ/28才)は東京で仕事を失い、同棲中の女の勧めで、女の実家のある田舎町に引っ越すことになった。女の親戚のツテで仕事を紹介してもらえるというからだ。女の故郷は「ヒビウマ」という町で、町とは言うものの、見えるのは凍った川にひび割れた田畑、葉の落ちた木々と風に吹かれて唸る高圧電線、そして、けたたましい金属音を響かせる工場群だけである。コンビニまでは車で10分。22時に閉まる。文夫はこれからこの町で暮らしていくことを考えると気が遠くなる思いだったが、でも今は、新居に山積みになった段ボール箱をひと箱ずつばらしていくことに夢中なのであった……。

作・演出:   喜安浩平(ナイロン100℃)

キャスト:
永井幸子 篠原トオル 馬場泰範 深澤千有紀 吉田真紀
藤原よしこ 井本洋平 酒井良太郎 林ゆう子(オトメチックジャパン)

作・演出:   喜安浩平(ナイロン100℃)

キャスト:
小島聰 西山宏幸 山口かほり 寺井義貴 野原千鶴
武田力(エメルパス) 三科喜代 太田紘子 中西広和

スタッフ:   舞台監督:長谷川ちえ
照明:斎藤真一郎(A.P.S)
音響:水越佳一(モックサウンド)
宣伝美術:オカイジン
舞台写真:七蔵奈々

舞台美術:喜安浩平
映像:篠原トオル(モジャーフィルム)
音楽:西山宏幸
衣裳:山口かほり
衣裳協力:森川美香・戸澤理恵子・伊藤真弓
モデル:桃山由希絵
制作:大幡雅代・瀬口育世

協力:   ナイロン100℃ ダックスープ エメルパス オトメチックジャパン

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